スクウェア・エニックスのRPG『ディアホライゾン』の開発者インタビューをお届けします。
お話をお聞きしたのは、本作のプロデューサーである石井諒太郎さんと有賀隆之さん。そして、ゲーム、小説、マンガのシナリオを担当する作家の三河ごーすとさん。
ゲームの誕生秘話からキャラクターに関する思い入れまで、さまざまなお話をお聞きできました。
新キャラに関する情報もあるので、お見逃しなく!(文:ATom)
▼左から、有賀隆之さん、石井諒太郎さん、三河ごーすとさん。
ターニングポイントは骨折!? プロジェクト立ち上げから今のシステムへと至るまで
ーーまずは、プロジェクト立ち上げのきっかけについて教えてください。
有賀:最初は自分が企画書を作って、そこから手直しを加えて、プロジェクトの立ち上げが決まりました。
最初の段階ではジャンルがはっきり決まっていたわけではなく、ゲーム部分の根幹としては画面をスワイプして敵を一掃していくというのがありましたね。
石井:システムも最初はダンジョンを移動するという形ではなかったんです。
有賀:そうですね。自分が持っているキャラクターたちが背中を向けていて、次々と出てくる敵を倒していくという形でした。
ーーシステム的に最初の構想から今の形はずいぶんと変わっていると思いますけど、ターニングポイントとなった出来事はありますか?
有賀:初期の構想で開発を進めていた時期が、プロジェクトが始動してから1カ月半くらいだったんですけど、そのタイミングで骨折してしまい、一時的にプロジェクトから離脱することになってしまったんです。
石井:草野球をしていたときに、バックホームで投げた瞬間に折れてしまったという(笑)。
有賀:そのあと10日後くらいに手術するということになって、病院へ行って手術してもらって。
そのあとは3日くらいで復帰できたのですが、その後自宅安静せよと医師から言われて、半月くらい離脱している間にシステムが変わっていました。
石井:有賀が離脱している間に、開発を止めるわけにもいかず、課題解決をしている中でダンジョンを移動するといった今のシステムの原型となるような形に変更させてもらいました。
三河:最初に依頼の話をいただいたときは有賀さんだったのですが、次の連絡は石井さんから来て、有賀は骨折で離脱していますと(笑)。ちょっと驚きましたね。
石井:そういうことがあったので、何がターニングポイントだったかというと、有賀の骨折ということになります(笑)。
ーースキルに関してですが、敵をなぎ倒していくような感覚は初期の頃から変わっていないのでしょうか。
有賀:そうですね。ただ最初はSPを振り分けて戦うというシステムで、あまりスキルをバンバン使えるようなものではありませんでした。
そこはもっと気持ちよく使えるように考えて、今のような形に変えたんです。
三河:ユーザー視点だと、敵を一ヶ所にまとめるようなスキルがほしいんですけど。
石井:今のところ、スキルの攻撃範囲は広いか狭いかしかないんですけど、そのあたりは今後いろいろなパターンを追加していきたいですね。
範囲を拡縮できるようにするとか、いろいろ考えています。
ーー本作において、ほかのRPGとの違いや特色を出すために狙った部分や、特に力を入れて開発した部分がありましたら教えてください。
有賀:スキル発動のところで、ターン制ではないけどアクションでもないし、どちらかというとシミュレーションゲーム寄りだとは思うんですけど、そういった意味で既存のゲームの枠組みには入れづらいところがあるかなと。
結果的にそれがほかのゲームとの違いを出せたと思っています。
石井:スキルはカードゲームのようなドロー形式なので、もし勝てなくてももう1回やればスキルが出てくる順番が変わって勝てるかもしれない。
そういう遊び方もしてほしかったので、クエスト挑戦にスタミナを消費するというようなシステムにはしませんでした。
ーースタミナを気にせず好きなだけ挑戦できるのは、プレイヤーとしてはとてもありがたいです。
石井:これは個人的な意見ですが、ほかのRPGとの違いや特色を出すことはもちろん大切なんですけど、それを意識しすぎて推し進めてしまうと、ターゲットであるプレイヤーも絞ってしまうことになると思うんです。
自分としてはできるだけたくさんの人に遊んでほしいので、違いや特色を出すというよりは、多くの人が楽しめるようなゲームを目指したいと考えていますね。
ゲームを象徴する「死を共有する」という設定は実は後付け!? 世界観や物語などの秘話に迫る
ーー世界観やキャラクターについては、最初からかっちりと決めていたわけではないのでしょうか。
有賀:そうですね。最初に石井から三河さんを紹介してもらって話をしたのですが、その時点ではファンタジーの話にしたいというくらいで、それ以上は特に決まっていませんでした。
石井:キャラクターのデザインはSDっぽくしようかという話もあったんですけど、自分の好みではなかったというのと、スクウェア・エニックスという会社からゲームを出すにあたって、そういったデザインは皆さんから求められているものとは違うのかなと思ったんですよね。
もう少しスクエニらしいというか、王道っぽい雰囲気で、頭身の高いキャラクターにしたいなと。
僕が口を出したのはそれくらいで、あとは有賀と三河さんで話をして決めていってもらいました。
ーー移動集落といった要素や、「死を共有する」といった設定は、三河さんからアイデアを出したのでしょうか。
三河:移動集落は私がやりたかったことですね。個人的に若干SF交じりのファンタジーが大好きなので。
ワクワクしてもらえるギミックになったのではないかと思います。この作品のアイコンとなるものにしようと、必死に考えて作りました。
有賀:最初に話をしたタイミングで、移動集落という単語はすでにあがっていましたね。
三河:そうですね。飲み屋レベルでの話ですけど、最初に出しました。当時は島が浮くというゲームがとても多かったんですよ。
だから、島が浮くのはやめようと(笑)。島ではない何か別のギミックとして、いくつか考えたなかから移動集落というのを出しました。
有賀:ロゴにも移動集落が入っているんですよ。ストーリーとしては、これから移動集落がどう変わっていくかが見どころです。
三河:画面で演出するのが難しそうなんですよね。どのように組み込もうか、いまいちイメージがわいてないんですけど。
有賀:ちなみに移動集落はいろいろなデザインのものを作っているので、移動集落を進化させるといったようなことはやりたいと思っています。
まだまったくなんの目処も立っていないですし、やれるかどうかわかりませんが……。
ーー移動集落同士の戦いみたいな、熱い戦いが展開しそうで楽しみです。そういえば砂漠のシナリオでは、描写が少しありましたよね。
有賀:そうですね。ゲームシステム的には反映されていないんですけど(笑)。同盟で移動集落が襲われて、それを守るといったようなシステムも作れるといいなと。
三河:小説では、移動集落同士の戦いを描きますので、ご期待ください。
ーー「死を共有する」という設定は、どのように生まれたのでしょうか。
三河:実は、「死を共有する」というのは私が考えたことではないんです(笑)。
石井:じつは、三河さんにメインシナリオの流れをほぼフィックスしてもらったあとに、ゲームシステムとして入れることになりまして……。
三河:なので、「死を共有する」という設定はあとからひねり出して、シナリオにぶち込んだという経緯があります。
有賀:初期のゲームシステムでは、キャラクターが個別にHPを持っていて、HPがゼロになると個別に倒れるようになっていたんですよ。
でも、それをゲーム上で表現しようとすると、移動するときなどに不自然なことになってしまいまして。
石井:イメージとしては『ドラゴンクエスト』の棺桶なのですが、ちょっと見せ方がうまくいきませんでした。
戦闘不能で倒れこんだ状態のグラフィックにしてみたんですけど、移動するときに倒れたままついてくるという不気味な感じになってしまったんです。
ならば倒れた場所に置いておけばいいと思ったのですが、そこを通るたびに目にすることになるのも生々しいかなと。
三河:それはそれでリアルな気はしますけどね(笑)。
石井:システム的にも、誰か1人が倒れてしまうと使用できるスキルが制限されてしまうので、パーティのHPは一本化したいなと考えました。
それを適当に処理してもよかったんですけど、せっかくだから世界観に組み込もうという形で、「死を共有する」という新しい設定が生まれました。
三河:一番ピックアップされているキーワードなので、最初からあるのかと思いきや、実は後付けだったという(笑)。
▼バトルで全員の体力が合計されるというのは、スマホゲームではよくあるシステムだが、本作ではその理由がしっかりと設定されており、世界観のなかに組み込まれている。
ーーシステムからシナリオを変えるというのも、ゲームならではという感じはします。
三河:ゲームシナリオが小説と違うなという点は、システムとシナリオと世界観がうまく絡まっていないと、ゲームに入り込めないというのがあると思うんですよ。
そこはお互い密接になるように、変えられるなら変えたいという気持ちはあります。
ーーシナリオを書いたあとに「死を共有する」という設定が加わったということで、ストーリー展開が大きく変わった部分はありますか?
三河:そこまで大きく変わったところはありませんが、主人公が死にかけてしまうという話の雰囲気には大きく影響がありましたね。
「死を共有する」という設定の都合上、主人公が死にかけるということはみんなも死んでしまうということなので、どうしようかと悩んで必死に逃げ道を作りました(笑)。
有賀:主人公が死にそうなのに、周りのメンバーはなんで余裕があるんだ。みんな死ぬんだぞ! となってしまうので(笑)。
三河:あとは冒頭の部分で儀式の設定を追加しましたけど、それくらいですかね。基本的にはあまり変わっていないです。
マルチメディア展開を視野に入れた世界観やキャラクター作りとメディアによる違いについて
ーーマンガや小説、アニメにゲームと多岐にわたる完全新規IPということで、ゼロから作り上げていく大変さがあったと思いますが、どの部分から着手していったのでしょうか。
三河:物語については、世界観の前にどういう感情に訴えようかと考えました。
いろんな事情で夢をあきらめたりとか、夢を見ないように目をそらしたりとか、夢を見ちゃダメという環境にいたりとか、そもそも夢ってなんだかわからないという状態だったりとか、そんなキャラクターをいろいろ出しています。
今は夢のない環境にいたとしても、夢を見て生きていきたいよねという。それをテーマにすえて、世界観やキャラクターを作っていきました。
ーー初めに遊んだとき、主人公の性格があまりに前向きすぎて、ちょっとまぶしすぎるかなと思ったんですけど(笑)。
三河:それはまさにこちらの狙い通りです(笑)。狙ってそういうキャラクターにしています。
ーー物語を進めていくうちに、主人公の前向きさによってまわりのキャラクターがどんどん変わっていくというのが、見ていて痛快というか気持ちよかったですね。最近では、まっすぐな主人公というのはめずらしいのかなと。
三河:じつはそもそも、主人公に人格があるスマホゲーム自体が珍しいと思うんですよ。
石井:主人公=プレイヤー自身という流れで、しゃべらないタイプも多いですからね。
三河:最初はどうしようか迷っていたんですけど、石井さんから人格があるやつでいきましょうという話があって、この形に決まりました。
確かにまぶしすぎるかなというのはあるんですけど、もし主人公のアグレッシブさを一段階落とすと、ちょっと暗い話になってしまうんですよね。それを避けたかったというのはあります。
ーーマンガや小説といったメディアもありますけど、それぞれの違いについてお聞きかせください。小説はゲームと同じキャラクターたちの話になっていますが。
三河:そうですね。物語の大筋はゲームと同じですが、少し違う展開にしてあります。
ゲームは続くことが前提になっていますが、小説だと最後に作品としてのオチが必要なので、閉じることを目指して、少しだけ最後の展開を変えています。
ーー個人的には、お風呂をのぞくシーンは小説ならではと思いました(笑)。ゲームだと出てこないですよね。
三河:ゲーム版で表現するのが難しかったので、ここぞとばかりに(笑)。移動集落のなかに実はちゃんとお風呂があるんだよと。
ーー初めに読んだときは、ゲームと同じ形でのノベライズかと思いましたが、キャラクターの描写がより細やかになっていますよね。
三河:そうですね。ゲームだとキャラクターの過去の回想を入れようとすると、少しくどくなってしまうんです。そんなことより早くゲームを進ませろ、みたいな。
小説の場合は、キャラクターのバックボーンを理解できないまま、話だけがどんどん進んでしまうと入り込めないので、メディアの特性によってキャラクターの描き方を微妙に変えています。
有賀:小説だとソフィアの過去の話とか、主人公が村にいた頃の話とか、ゲームでは触れていない部分もちゃんと描かれています。
三河:そういうことをゲームでやろうとすると、どうしても長くなってしまうんですよね。
ゲームではプレイヤーが介入できるのはバトルの部分なので、バトルにまつわることを重視したほうがいいかなと考えてます。
ーーコミックのほうは、逆にガラリと変わっていますよね。
三河:小説を原作と同じような形でやらせていただいたので、別の話にしてしまおうと。
逆に私じゃなかったら、遠慮して原作どおりにやってしまうかもしれません。
これは個人的な考えなんですけど、ゲームとまったく同じ展開のコミカライズだと、ゲームを遊べばいい話じゃないかなと思ってしまうんです。
やるのであれば、マンガならではの表現というか、読者さんが楽しめるよう大胆に調整したいという気持ちがあります。
小説もゲームも王道でいっているので、マンガは邪道でいこうかなと(笑)。
コミックの話を考える段階では「死を共有する」という設定があったので、これを使ってエグい話ができないかなと考えて、デスゲームものにしたんです。
石井:割とすんなり決まりましたよね。
三河:そうですね。私と石井さんが乗り気でしたから(笑)。でもコミックの編集部が一番戸惑ったと思います。
あれ、ゲームのコミカライズじゃないぞ、ファンタジーを作るつもりだったんだけど、みたいな反応が(笑)。
石井:すまない、デスゲームなんだ、と謝りながら(笑)
三河:幸いにもたくさんの読者さんに楽しんでもらえる結果になったので、冒険してみてよかったと思っています。
有賀:現状は不定期連載ですが、1カ月に月間連載での1話くらいのボリュームで出したいとは思っています。
物語を彩る魅力的な主要キャラクターたち。その役割や設定に迫る
ーーゲーム、小説、マンガに登場する主要キャラクターについて、どのような役割や設定を持つキャラクターなのか、一言コメントをいただければと思います。まずは主人公からお願いします。
三河:主人公はかたくなに夢を追い続けて、ほかの人にとって希望や光になるキャラクターですね。
ーー戦いの実力もあって、意外と交渉術も持っていますよね。
三河:そうですね。私は主人公は有能なほうが好きなんです。とはいっても完璧超人ではなくて、成長の余地を残しているという感じで書いています。
石井:周りとのテンポ感が全然違って、空気を読まずにガンガン突っ走ったりするので、楽観的なキャラクターだなと(笑)。
三河:そこはあえてやっています(笑)。ソフィアを引っ張っていく役割もあるので。
いわゆる巻き込まれ系主人公というのは、引っ張ってくれるヒロインがいないと話が動かないのですが、今回のソフィアは引っ張られるタイプです。
そうなると相対的に。主人公が引っ張り役にならないといけないんですよね。
ーーでは、続いてソフィアはいかがでしょうか。
三河:そうですね。こういう健気系のヒロインが好きなので、書きやすかったです。
有賀:いい子ですよね。世間知らずからくるいい子なのか、本質的にいい子なのかというところは、まだお話のなかでは見えないですけど。
三河:いい子だけど、わりと我が強いところはあったりします。
有賀:育ちがいい子というか、小説を読んでいると箱入り娘という感じはしますね。
三河:もともと友だちとかも自由に作らせてもらえなくて、レテだけが友だちという悲しい子だったので。
ーーレテはソフィアとセットというところもありますよね。イングリットとウルフはいかがでしょうか。
三河:イングリットは、もともと先輩の冒険者という存在として置きたかったし、ウルフは人生の先輩として置きたかったというのはあります。
ただ、ウルフについては、私の趣味で情けないキャラクターにして「ごめん!」という感じですね(笑)。
狙いとしては、イングリッドと絡ませたときにイングリッドに突っ込ませたかったんです。その結果、ウルフが相対的に情けないキャラクターになってしまって。
石井:自分はウルフが好きですね。ウルフが初めて登場したとき、すごくかっこよくて。
とても大人な感じがして、これからパーティのなかではそういう大人なポジションになるのかなと思ったら、次のシーンではずっと乗り物酔いしていてビックリ(笑)。
三河:あれは逆に、かっこいい大人として登場したので、こいつにも弱点があるんだということを描こうと思ったんです(笑)。
それはともかく、かっこいいおじさんというのは素敵ですよね。
ーーエナについてはいかがでしょうか。
三河:エナは私の趣味がかなり反映されてます(笑)。無表情というか、感情の乏しい女の子が好きなので、どうしても出したかったんです。
エナのようなキャラクターが好きなプレイヤーは結構多いと思うんですよ。
自分が好きになれないキャラクターを、誰かが好きになってくれるとは思えないじゃないですか。
石井:大人が次々と登場するという流れのなかで幼い子が登場して、タイミング的にはここでエナがくるんだという感じがしましたね。
三河:自分としてはむしろ大人を出しすぎたなと思って、そろそろかわいい女の子を出さないと、という気持ちでした(笑)。
それと、ソフィアの成長を描くうえで年下のキャラクターがほしかったというのもあります。
エナが登場する少し前には、ソフィア自身の問題はだいたい解決されているんですよ。
ソフィアがそこまで成長した結果、次の段階として自分が誰かに与える側になるという成長を描きたかったので、ソフィアよりもひどい境遇のエナをあのタイミングで出しました。
自分のこともままならない人間が、誰かのために何かをしようというのはおかしな話なので、段階としてはやはり自分のことが安定してきたら誰かを助けるという流れにしたかったんです。
石井:キャラクターの関係性が、人生やサラリーマンの縮図を表現しているのかなという印象はあります。三河ごーすとさんはサラリーマン経験もありますし、そこが生かされているのかなと(笑)。
ソフィアは学生時代の同級生で、いっしょに社会に出て、そこにイングリットとウルフいう大人の上司がいて、そのあとにエナという後輩ができるみたいな。
三河:そんなことはまったく考えていませんでした(笑)。でも、言われてみればそうかもしれませんね。
ーーマンガでは、主人公の神木怜二と、謎の美女ヒルデが登場します。最初にいきなりヒロイン的なキャラが死んでしまうという展開ですが。
▼ヒルデはゲーム版にもユニットとして登場している。ちなみに三河さんは、彼女のために覚悟を決めて、ちゃんと仲間になるまでガチャを回したとのこと!
三河:あれは読者に「うわー」と言わせたかったんです(笑)。
キャラクターとしては、ファンタジー世界で夢に破れたりとか、夢を追ったりとかしているのが本編の主人公だとしたら、マンガ版の主人公は現実世界で夢破れた人なんですよ。
ーー確かに。就職活動に失敗したという設定ですよね。
三河:怜二は昔は神童と呼ばれていて、万能感があった人物だったんです。
私は物語を作るときに多くの人が共感するキャラクターを作りたいという気持ちが強いので、現実にもこういう人はいるんじゃないかなと思いまして。
高校くらいまでは成績上位だったけど、大学に入って自分は実はそんなに上じゃないということに気付かされて、就職活動をするにいたっては大企業に入れないのという感じで。
そんな生々しいことになっていた主人公が、就職活動に失敗した末に、精霊の導きでファンタジー世界へ行くことになるという。
有賀:ファンタジー世界で人生をやり直すみたいな。
三河:人生をやり直して幸せになれるかと思ったら、「残念! デスゲームでした!!」という最悪な展開なんですけど(笑)。
そういう流れのなかで、主人公が夢破れた理由というか、いまいちパッとしない理由として、人をそんなに信用していなくて、あまり他人とかかわりたくないという部分があるんです。
それが強制的にパートナーを組まされて、命を共有することになるなかで、パートナーとどうかかわっていくのか。その部分の変化が見どころですね。
ーーヒルデのほうはいかがでしょう。
三河:ヒルデは、主人公を弟扱いしていて「お姉ちゃんと呼んでいいからね」と言って抱きついてくるようなキャラクターなんですけど、実は帝国に弟を殺されているんですよね。
それで帝国に復讐を誓っていて、1人で帝国兵を何人も惨殺しているので死神と呼ばれています。
唯一の家族であった弟を殺されたというところで、彼女が生きる目的はほぼ復讐しかないという感じになっているんです。
ある意味では夢破れたというか、人生の目的が復讐以外にないという状況だったのですが、主人公とペアと組むことになったことで、弟への愛情をゆがんだ形で発現しているという感じですね。
ヒルデがなぜ主人公に対して異常な愛情を示しているのか、気になる人はぜひマンガを読んでみてください。
開発者3人が語る、それぞれのお気に入りキャラクターとその魅力。そして『ディアホライゾン』の今後の展開は?
ーーゲーム版には主要キャラクター以外にもたくさんのキャラクターが登場しますが、これらもすべて三河さんが作られたのでしょうか。
三河:そうですね。今のところすべて私が作っています。キャラクターごとのバックグラウンドやサブシナリオ的なイメージも考えていますね。
ーー実はこのキャラクター同士が知り合いで、というような、まだ出していない隠された関係性や裏設定のようなものがあるのでしょうか。
三河:三姉妹とか執事兄弟とか、あとは出身の国が同じだったりとか。
たまに和風のキャラクターがいて、東方のどこかの国からやってきているんですけど、そういうキャラクターたちは同じ国の出身だったりします。
今はまだ言えませんが、裏側でつながっているキャラクターもちょこちょこいますね。今後の展開をお楽しみにということで。
石井:国がいろいろあるので、世界地図を作りたいですね。ゲーム中にワールドマップは表示されるんですけど、もうちょっと広い範囲になっているんです。
どこにどの国があってとか、このキャラクターの出身地はこの国とか、そういう地図があれば世界観もわかりやすくなるかなと。
ーーゲーム版でお気に入りのキャラクターや、能力的にオススメのキャラクターを教えてください。
有賀:女性キャラクターだとシリウスが好きです。シリウスのイラストが一番初めに上がってきて、それがキレイなイラストだったので印象に残っていますね。
能力的にも回復キャラクターとして活躍するのでオススメです。
男性キャラクターだと、かっこいいおじさんということでグレイドですね。イラストも壮年の渋さを感じます。能力的には物理攻撃が強力で、使っているプレイヤーも多いです。
三河:私はダンタリオンが超お気に入りです。イラストもかわいいですしね。能力的にも広範囲の強力な魔法攻撃で敵をなぎ払えるので、使いやすいです。
あとは、レディ・ハチェットとか、エスターとか。……ヒルデもそうですが、自分はヤンデレ系が好きなようです(笑)。
石井:先ほども言いましたが、かっこいい大人ということで、ウルフが好きですね。
今は情けない姿をたくさん見せてしまってますけど、今後活躍してほしいなと思っています。
ーーちなみに、★5キャラクターの出現確率がほかのゲームに比べると高いような気がするのですが、実際どうなのでしょうか。
石井:そうですね。確率は6.9%と高めに設定しています。1日1回のフリー召喚だけでも、毎日やれば十分に☆5の獲得が期待できると思います。もちろん、リアルラックにもよりますけど。
有賀:ログインしたりゲームを進めたりしても精霊珠がもらえるので、それも含めればかなり入手しやすいと思います。
石井:やっぱり確率が低いと嫌じゃないですか。これくらいだったら挑戦してみようと思える範囲で設定していますね。
有賀:ただ、★3や★4のキャラクターでも、育てればちゃんと強くなります。主人公やソフィアは、ストーリーを進めれば限界突破していくので、最大レベルにもしやすいですし。
石井:スマホゲームだと、主人公が強くないゲームが多いじゃないですか。最初から手に入るけど、まったくパーティには入らないということにもなりがちです。
シナリオでは話の中心にいるのに、バトルではまったく参加しないというのは避けたかったので、ストーリーを進めていけばちゃんと強くなるように設定しました。
ビジネスとして考えると、ちょっと強すぎなんですけどね(笑)。
▼同じキャラクターを獲得することで、限界突破して最大レベルがアップする。主人公やソフィアは★3だが、ストーリーを進めればレベル100まで強化可能に!
ーー『ディアホライゾン』のゲーム配信後の反響はいかがでしょうか。
石井:まだゲームを配信したばかりですが、想像以上にたくさんの方々に遊んでいただいているなと感じました。
初動としては非常に良かったのですが、そのあと不具合が発生してしまい、約2日というとても長い時間メンテナンスに入ってしまいました。これについては、大変申し訳ございませんでした。
メンテナンス前に遊んでくださっていた方々には、2日という長い時間にもかかわらずご理解いただき、とても感謝しています。
メンテナンス後の反響については、レイドや同盟など、コミュニケーションを取りながらプレイするという部分がよく遊ばれていて、手ごたえを感じています。
その反面、ゲームバランスの面での不具合や、コンテンツを遊びきったという人が結構いるので、そのアップデートを早くしていきたいと考えています。
ーーそれでは最後に、『ディアホライゾン』に期待するファンにメッセージをお願いします。
三河:明るくて前向きな冒険譚をぜひ楽しんでください。いろいろなキャラクターがいるので、お気に入りの子を見つけてもらえたらと。
キャラクターのプロフィール画面では右下に「掲示板」があるので、お気に入りの子にはぜひその掲示板で感想を書いてみてくださいね。
有賀:掲示板やツイッターは我々もチェックしているので、何か要望があれば書いていただければ、反映できるかもしれません。
あとは、オリジナルのキャラクターもこれからどんどん登場するので、好きなキャラクターが出たらぜひ入手していただければと。
召喚だけでなく、降臨イベントでも★5キャラクターを手に入れられるような運営をしていこうと考えていて、キャラクターを限界突破させる強化アイテムなどもイベントで配布していく予定ですので、ぜひキャラクターの強化を楽しんでください。
石井:現時点では、もっと遊べるコンテンツを増やしてほしいという要望が多いと感じていますので、できるだけ早いタイミングで増やしていきたいと考えています。
今後の展開としては、9月末に新しいレイドのイベントを1つやって、来月には新しいイベントを2つやれるのではないかなと思っています。
これまでのイベントとはまったく違うもので、こちらの報酬も限界突破ができる強化アイテムなどを配布できるよう準備していますので、もう少しだけお待ちしていただけるとうれしいですね。
9月中旬の最新情報を先行公開!
石井さんから9月中旬に登場する新キャラクターの情報を教えてもらいました。2人とも★5の女性キャラクターです!
人の心を読めるジークリンデと、オーガに育てられた少女のメルセデス。どちらもユニークな設定なので、仲間にした時のショートエピソードが楽しみですね。
▼[槍]ジークリンデ(声優:諏訪彩花/イラスト:スズメユウ)。
●ジークリンデのプロフィール
人の心を読める不思議な少女。勝負事では誰にも負けず、一対一の決闘でも熟練の冒険者や騎士を圧倒する。人の心の汚い部分を見すぎたせいで年不相応に達観している。彼女が近くに寄り添いたいと思える心を持った人間が現れる日は来るのだろうか…。
▼[槌]メルセデス(声優:遠藤ゆりか/イラスト:スズメユウ)。
●メルセデスのプロフィール
物心つく前に誘拐され、オーガの長に育てられた。モンスターと心を通わせる心優しい少女だが、理性を失くして襲ってくる者はきちんと見分けて容赦のない「お仕置き」を執行する厳しい一面もある。
人間社会には慣れておらず、言葉もすこし怪しい。
TVアニメは10月開始! 漫画やWebアニメにも注目!!
総合エンターテインメント・プロジェクトである『ディアホライゾン』は、10月からTVアニメの放送が決まっている他、漫画や小説など、ゲーム以外でもさまざまな分野で展開中です。
「死を分かち合う」という設定など、同じモチーフを持ちながら、作品によって異なる物語やテーマとして料理されているところは、『ディアホライゾン』という総合エンターテインメント・プロジェクトならではの見どころです。
ぜひゲームだけでなく、その他のジャンルの作品もお楽しみください!
【『ディアホライゾン』の主な展開】
・TVアニメ(10月放送開始)
・Webアニメ
・4コマ漫画
・小説『ディアホライゾン 〜暁の契約者〜』
※「カクヨム」で連載中
・漫画『君のために、お姉ちゃんがみんな殺してあげる〜プロジェクト ディアホライゾン〜』
※アプリ『マンガ UP!』で連載中
・ラジオ番組『田中あいみ・芹澤優のディアホラジオ』
※文化放送と「超!A&G+」にて、日曜11:00から放送中の「A&G リクエストアワー 阿澄佳奈のキミまち!」内で12:42ごろ〜12:52ごろに放送
『ディアホライゾン』注目記事一覧
- スクエニ新作『ディアホライゾン』レビュー。「死を分かち合う」重さをポジティブな冒険活劇に昇華
- 【ディアホライゾン攻略】効率良くキャラや武器を強化して総合力を上げる方法
- 【ディアホライゾン攻略】レイドバトルの仕組みとコツ
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