近年、スマートフォンを安く運用できる『格安SIM』が注目を集めています。格安SIMは、キャリア契約のSIMカードと比べ、月額が半分以下で使えるといったメリットがあるんです。
でも、通話もインターネットも接続できるのに、どうしてキャリアより安いのでしょうか?もしかして、キャリアより通信速度が遅かったり…?
使い始めるにあたって浮かぶ様々なギモンを、格安SIMの草分け的存在の『IIJmio』に聞いてきました!質問に答えてくれたのは、広報部課長(技術広報担当)の堂前清隆(@IIJ_doumae)さん。
とてもわかりやすく解説していただきました!
後編ではIIJmioの魅力をご紹介しています
→格安SIMでもサービスは充実!? お得にスマホ運用する方法を聞いてきた
格安SIMってなんで安いの?
-格安SIMって、どうしてキャリアと比べて安くできるんですか?
堂前:
キャリアでは、通話やパケット通信以外のオプション等色々な機能を盛り込んだ上で使ってもらうというのが主になっているんですね。
電話のかけ放題や手厚いサポートが盛り込まれてあの値段になっているんです。
格安SIMでは標準搭載しないことが多く、シンプルな通信のみとなっています。なので、そこが大きな違いですね。
-サービスが沢山盛り込まれていても結局使わないことも多いですもんね
堂前:
実質0円端末などもその一部ですよね。
実質0円と言っても、実際には合計数万円のお金を月々の割賦で支払っており、それが毎月の割引で相殺されるから「0円」という事になっていますが、割引してもらうためには高い月額料金を支払わなければならない。
高価な端末を気軽に使えるのでお得なことにはお得なんですけど、支払額は大きいっていうことですよね。
-サービスといえば、格安SIM事業者ってキャリアメールがないですよね?代替するものはありますか?
堂前:
全体で見ると、キャリアメール的なものとしてメールアドレスを発行している事業者もあるのですが、本当のキャリアメールの代わりにはなっていない部分があります。
以前は、ケータイサイトなどでキャリアメールを登録することで個人の特定(複数アカウントを保持しないため)をしていたんですね。
歴史的経緯で、ケータイサイトはキャリアメールに使われている「@docomo.ne.jp」「@ezweb.ne.jp」「@softbank.ne.jp」などのドメインを特別扱いしているんです。
格安SIM事業者が独自でメールアドレスを発行していたとしても、キャリアのドメインにはならないので、ケータイサイトなどコンテンツからはキャリアメールとして認識してもらえないという事情があります。
その意味では、キャリアメールの完全な代替というものはIIJmio含めて格安SIM事業者では出せていないのが現状です。
-なるほど。そういう仕組みがあったんですね
堂前:
はい。でも、キャリアメールをサイトに登録するというのはガラケー時代の名残でしかないと思うんですよね。最近だと、Twitter・FacebookなどSNSによる認証に置き換わったりもしてきているので、昔ほどキャリアメールが必要という場面は減っています。
今後も、キャリアメールがなくても困らないという流れになっていくと思いますよ。
docomo回線ばかりなのはなんで?
-格安SIMはどうして、docomo回線が多いんですか?最近だとau回線を使ったプランもありますよね
堂前:
これはもう、歴史的な事情というのもあるんですが、そもそもなぜdocomoさまやauさまが回線を貸し出してくれているかというと、じつは日本政府の方針があるんですね。
沢山の携帯事業者が生まれることで競争がはじまり、結果として「良いサービス」「豊かなサービス」が出てくるだろうという方針があります。国から独占的に電波を割り当てられている大手キャリアは、他の事業者から希望があれば基地局などの通信設備を貸し出さなければならないという義務があるんです
なので、じつはdocomoさまに限らず回線を貸し出しているんですが、3大キャリアそれぞれの事情があって、貸し出し料金が一定ではないんですね。格安SIMが本格化したころdocomoさまが圧倒的に安かったという背景もあり、docomo回線が多いんです。
-それでdocomo回線が圧倒的に多かったんですね
堂前:
現状で言うと、各社とも事情が変わってきまして、貸し出し料金も下がってきて差も縮まっています。そういう点では、従来ほどdocomo一極集中というわけではなくなってきているんです。
たとえば、au回線を使っている事業者だとmineoさまもプランがありますし、IIJmioも10月からサービスを開始しました。SoftBank回線では最近だと飛騨高山ケーブルネットワークさまが取り組みはじめました。
キャリアと格安SIMで速度は異なる?
-キャリアから回線を借りているということは、キャリアと同じ範囲で使えますよね。速度は異なるんですか?
堂前:
まず、どうやってスマートフォンが接続されるかを紹介しますね。スマートフォン→基地局(キャリア)→MVNO(格安SIM事業者)→サイトやゲームのサーバーという順で繋がります。接続するプロセスは何段階にも分かれているんです。
速度に影響するのが、「スマートフォン→基地局」という電波に関する部分。「基地局→MVNO」の部分の2箇所が速度に影響するんです。
「スマートフォン→基地局」の部分に関しては、キャリアも格安SIM事業者も同じ条件なんです。「基地局→MVNO」の部分は、事業者ごとに持っていて、この部分をどれくらい借りているかで変化してきます。借りている容量と、利用者数の「多い」「少ない」によって混雑具合が分かれてきます。
混雑が激しいと1人あたりの通信速度が遅くなるということが起こりますので、この点において通信速度の「速い」「遅い」の差がでてくるんです。
-では、利用者数が増えると一時的に回線が遅くなる期間もありますか?MNPのキャンペーンなどユーザーが一気に増えたときなど…
堂前:
はい、ありますね。お客様が増えれば、借りている回線の容量を増やすということがあります。しかし、依頼してすぐに増やせるわけではないので、事前に計画を立てなければなりません。
たとえば、IIJmioの場合、定常的に毎月容量を増やしているのですが、大きなキャンペーンを始める前にあらかじめ多めに容量を増やすことは行っています。ただ、私たちも予期しない急激な利用者の増加をする場合、後手に回ることもありまして、皆様にご迷惑をおかけするというケースもありました。
-速度が遅くなるというときは、利用者が多い時なんですね
堂前:
あとは、1日の中でも利用者が集中する時間なども影響がでることもありますね…。
その時間帯にピンポイントで対策しようとすると、回線を借りる価格と皆さんからお支払い頂く価格が釣り合わなくなってしまいますので、ピークの時間帯の混雑を完全に解消するのは難しいのです。その点に関してはキャリアと比較したとき明確なデメリットになっていると思っています。
格安SIMはどうやって選んだらいいの?
引用:プラン・料金(格安SIMラインアップ) | IIJmio
-格安SIMを選ぶときのコツなどはありますか?
堂前:
たとえば、メディアなどで格安SIMの比較特集をされていますよね。そういったものを1つだけでなく、様々な媒体や過去に掲載されたものをチェックした上で、安定した速度を出しているところを選ぶのが良いのではないかなと思います。
その理由として、一時的に速い速度が記録されただけという可能性もあるからです。速度が乱高下するものよりも、いつ見ても同じ速度という格安SIMのほうが結果として使いやすいのではないかなと考えています。
-速さよりも安定で選ぶのが良いんですね。では、通信容量の選び方のコツはありますか?
堂前:
通信容量に関しては、1人で使う場合であれば、動画を観るかどうかで分かれるかなと思っています。IIJmioの場合、ほとんど動画を観ないという場合であれば3GBの「ミニマムスタートプラン」を選べば事足りるかなと思います。
外出先で少しの時間だけ動画を観たい場合は、6GBの「ライトスタートプラン」のほうが余裕があります。
10GBのプランに関しては「ファミリーシェアプラン」といって、家族で使って欲しいと思って用意したプランですね。たとえば、両親とお子さんで互いにパケットをシェアできるという仕組みになっていますので、上手く使いまわすと安くできるというプランです。
プラン間での変更もできますので、最初に6GBのライトスタートプランを契約して、様子をみて変更するのがおすすめですね。
-3GB、6GBのプランでは複数のSIMをシェアすることはできますか?
堂前:
はい、できます。その2つのプランでは最大2枚までSIMカードを作れるので、スマートフォン2台持ちという方や、スマートフォンと無線ルーターといった使い方ができますよ。
-そうなんですね。3GBのプランの場合、どれくらい使用できるなど目安はありますか?
堂前:
ニコニコ動画やYouTubeを流し続けると12時間〜13時間程度使えるという目安ですね。ただ、動画によって通信量の差がありますので、きっちりこの時間というわけではありませんので、あくまで目安として考えてくださいね。
実際には、動画以外にSNSを使ったりアプリのアップデートを行ったりすることも考えておいたほうがいいかなと思いますね。
格安SIMのプリペイドという使い方
-IIJmioではプリペイドSIMカードもありますよね。どういったときに活用できるんですか?
堂前:
IIJmioでは、月額のプランを契約した場合にクレジットカード払いになるのですが、プリペイドはクレジットカードが不要、先払い式で使えるのがメリットです。利用期間が終わっても追加チャージをすることで期間を延長できるので、月々の維持費を結構安くできるという側面もあります。
たとえば、1番安い追加チャージが1,500円で、1回チャージすると3ヶ月維持できるので、チャージした分を3ヶ月持たせられれば、1ヶ月500円くらいで済みますよ。
-もし、使っていて急に容量が足りなくなったら…どこで手に入るんですか?
堂前:
IIJmioの場合、ローソン・ファミリーマート・ミニストップ・セブンイレブンなど主要なコンビニで追加チャージ用のカードが買えます。これは、プリペイドSIMだけでなく月額プランの追加チャージとしても使えるので、通信量が足りなくなったらコンビニに行けば大丈夫なんですよ。
-コンビニで買えるなら安心ですね! 本日はありがとうございました
IIJmioの詳細はこちらでチェック
意外とハードルが低い格安SIM!
回線を借りていることで安さを実現した格安SIM。キャリアと比べて、サービスがシンプルということが安さの秘密でした。
とはいえ、様々な容量のプランで使い方に合わせて選べたり、コンビニで容量を追加チャージできるなど、「安さ」以外のメリットもあるんですね。
IIJmioのサービスについても詳しく聞いてきましたので、次回もお楽しみに!
後編ではIIJmioの魅力をご紹介しています
→格安SIMでもサービスは充実!? お得にスマホ運用する方法を聞いてきた
・販売元: Internet Initiative Japan, Inc. ・掲載時のDL価格: 無料 ・カテゴリ: ユーティリティ ・容量: 1.2 MB ・バージョン: 4.2.4 |