iOS 9.1に光で無線通信する技術『Li-Fi』に関するものと思われるデータが見つかり、iPhoneが将来対応するのではないかと話題になっています。
条件が整えば、Li-Fiは毎秒12.5GBのデータを送れます。これは16GBモデルのiPhoneの空き容量とほぼ同じです。
とはいえ、これほど高速な通信がスマートフォンですぐ実現する見込みは低いと考えられ、別の使い方が想定されているのかもしれません。
Li-Fiの仕組み
Li-FiはLEDライトが発する光を使い、デバイスにデータを送ります。デバイスには光を受け取るための受光器が必要です。テレビのリモコンを思い出してみましょう。
この状態ではLEDライトからデバイスへデータが流れるだけ。Wi-Fiのように送受信するには、デバイスに発光器とLEDライトに受光器が必要になります。
Wi-Fiとの違い
Wi-Fiは電波を使うので、電波による影響を多く受けます。たとえば2.4GHzのWi-Fiを使う際、近くで電子レンジやBluetooth機器を使うと速度が落ちます。
Li-Fiなら光を使うので、ほかの電子機器による影響を受けません。しかし、太陽光の影響は受けるので、使える場所は屋内や夜に限られるでしょう。
Li-Fiの課題
1つ目は、LEDの種類で通信速度が異なり、高速になるほどLEDが高価になる点です。
現在のLED照明によく使われる蛍光体発光ダイオードでは最大で毎秒12.5MB。iPhone 6sのWi-Fiは最大で毎秒108.25MBなので、いちじるしく速いわけではありません。
2つ目は、お互いに通信するには発光器と受光器が必要になる点。受光器はカメラで代用できても、発光器を新たに載せねばならず、設計・コストに影響します。
屋内のナビゲーションに使う?
高速化が難しい一方で、Li-Fiは屋内でのナビゲーションに使われる可能性があります。GPSは衛星からの電波を使うので屋内では受信できなかったり、位置測定の精度が低下したりします。
電機メーカーのフィリップスは、スーパーマーケットでの屋内ナビを開発しています。スマートフォンのカメラでLEDライトからのデータを受け取ります。
(引用元:YouTube)
こうしたシステムであれば、スマートフォンが一方的にデータを受け取るだけで済むので、発光器を載せなくてもOK。
ある棚の近くを通ったときにクーポンを受け取れる、といったことも可能でしょう。しかし、2013年にAppleが発表した『iBeacon』との差別化は難しそうです。
→ iOS 7の「iBeacon」に注目!「退店で決済」「正確な屋内ナビ」実現か。
iOS 9.1で見つかったデータが本当にLi-Fiを指し示しているのかは不明ですが、もしiPhoneが対応したら、私たちの生活がちょっと楽になるかもしれませんね。
参考
- iOS code shows Apple experimenting with ultra fast, light-based Li-Fi wireless data for future iPhones – AppleInsider
- LiFi internet breakthrough: 224Gbps connection broadcast with an LED bulb – IBTimes UK
- How fast can LiFi be? | LiFi Research
- Where are the discounts? Carrefour’s LED supermarket lighting from Philips will guide you – Philips
- pureLiFi™ The Home of LiFi – pureLiFi™