投資会社パイパー・ジャフリーの Gene Munster 氏によると、この1年で iPhone/iPad の秘書機能「Siri」の精度が向上したようです。
特に大きな変化を遂げたのが「騒音が多い環境での質問の認識率」。2012年12月の時点で認識率は 84% でしたが、2013年12月では 94% に向上しています。
さらに質問に答える際に Google を使う割合が減っていることも明らかになりました。
Siriが質問を認識する割合
Gene Munster 氏の調査によれば、以下のように変化しています。
全てにおいて現在の Siri が良い結果を残している訳ではありません。例えば「正確に聞き取れて正確に回答できた」割合は2013年8月に比べて 3% 低下しています。
ただ「質問に回答できた割合」そのものは2012年12月比で 4%、2013年8月比で 2% 向上していることから、全体としての精度は徐々に良くなっていると言えそうです。
2013年12月 | 2013年8月 | 2012年12月 | |
質問に回答できる割合 | 79% | 77% | 75% |
質問に正確に回答できる割合 | |||
正確に聞き取れて正確に回答できた | 83% | 86% | 81% |
正確に聞き取れたが回答が不正確だった | 17% | 14% | 19% |
質問を聞き取れる割合 | |||
正確に聞き取れた | 94% | 87% | 88% |
正確に聞き取れなかった | 6% | 13% | 12% |
騒音が多い環境で質問を聞き取れる割合 | |||
正確に聞き取れた | 94% | 83% | 84% |
正確に聞き取れなかった | 7% | 17% | 16% |
騒音が少ない環境で質問を聞き取れる割合 | |||
正確に聞き取れた | 95% | 91% | 91% |
正確に聞き取れなかった | 5% | 10% | 9% |
上記の表は Mac Rumors に公開されていた英語版の表を元に作成しました。
おそらく一連のテストは英語で行われたと思われますが、日本語版の Siri でも同様の変化が見られるのかは分かりません。
SiriのGoogle利用率は低下
Siri は質問に回答する際に様々なウェブサービスを使います。例えば Bing・Wikipedia などです。
Munster 氏の調査によれば、Microsoft の検索エンジン Bing が利用率を伸ばしたのに対して Google の利用率は低下しています。
(画像引用元:Mac Rumors)
Google Nowとの比較
必要な情報を適切なタイミングで提供する Google Now は音声(英語)でも操作できます。そこで Munster 氏は Siri との比較も行っています。
全体として正答率が高いのは Google Now です。一方で OS の操作に関する「コマンド」では Siri の正答率が高くなっています。
ただ、実際に音声で質問する場面を想定すると、周辺情報・場所検索・ニュースのチェックなどが多いと考えられます。
これらの分野の正答率が低い Siri にはまだ改善の余地がありそうです。
(画像引用元:Mac Rumors)
こちらも英語かつアメリカでのテスト結果だと考えられるため、日本語版の Google Now で同様の結果が得られるかは不明です。
iOS 7との関係は?
Musnter 氏が調査を行ったのは2012年12月・2013年8月・2013年12月です。このうち、2012年12月と2013年8月は iOS 6 環境の Siri を使っています。
iOS 7 で Siri の機能は強化されたとはいえ、iOS 6 環境下の Siri との比較を行っていることから、テストの際に使われた質問は同じものだと考えられます。
Siri は音声をサーバに送って解釈→命令が iPhone に届いて実行→結果を表示する仕組みです。
従って、iOS 7 になって改善された部分もあるとは思いますが、基本的には Siri のサーバで動いているプログラムが強化されたものと考えられます。