iPad mini Retinaディスプレイモデルで3種類のベンチマークアプリを使い、仕様を調査・性能を数値化してみました。
ここでいう「ベンチマーク」とは処理能力を計測して数値化すること。旧モデルとの性能の違いを数字で比較できます。
今回使ったのは CPU の計算能力を測れる Geekbench 3、グラフィックの描画能力を測る GFXBench、さらにメモリなどの速度を測れる PerformanceTest Mobile です。
さっそく結果を見ていきましょう。
※下記の数値はいずれも速報値なので、ベンチマークの実施は1回のみ。iOS は 7.0.3 で統一し、他のアプリはすべて終了した状態で実施しています。
仕様を比べる
| 機種 | iPad mini Retinaディスプレイモデル | iPad Air | 第4世代iPad | 初代iPad mini |
| プロセッサ | A7プロセッサ | A6Xプロセッサ | A5プロセッサ | |
| 最大動作速度 | 1.29GHz（1.3GHz） | 1.39GHz（1.4GHz） | 1.4GHz | 1GHz |
| コア数 | 2コア（デュアルコア） | |||
| 1次キャッシュ | 64KB | 32KB | ||
| 2次キャッシュ | 1MB | |||
| 3次キャッシュ | なし | |||
| システムメモリ | 976MB（1GB） | 988MB（1GB） | 503MB（512MB） | |
初代 iPad min のほか、iPad Air の旧モデルに当たる第4世代 iPad との大きな違いは「A7」プロセッサを搭載していること。iPad Air との共通点でもあります。
A7 プロセッサを搭載したことで、64ビット化も果たしています。
動作速度の点でも初代 iPad mini より高速で、1次キャッシュも増えています。
キャッシュは CPU が使うデータを一時保管する場所。容量が多いほど処理が速くなるとは言えませんが、効果はあります。
さらにシステムメモリは約2倍になっており、上記の仕様を見る限りでは初代 iPad mini の多くのユーザーが期待した進化を遂げたことが伺えます。
では、実際の処理能力はどうでしょうか？
CPUの計算能力を比べる
ここでは Geekbench 3 を使い、シングルコアとマルチコアでの計算能力を比べます。
「コア」は CPU で計算を行う部分に当たり、1つのコアでシングルコア、2つ以上のコアでマルチコアと呼びます。
今回比較する iPad は2つのコアを内蔵した CPU を使っているので、「マルチコア」の結果は2つのコアを最大限使った場合の結果になります。
一番上が iPad mini Retinaディスプレイモデルです。
今回の結果は初代 iPad mini の5倍、第4世代 iPad の1.7倍ほどの処理能力を持っていることを表しています。
CPU の動作速度が若干遅いこともあり、iPad Air ほどの成績ではありませんが、同じ A7 プロセッサで動作速度も同じ iPhone 5s とは同等の結果です。
グラフィック描画能力を比べる
GFXBench で「GFXBench 2.5 Egypt HD」の「Offscreen」と「Onscreen」というベンチマークを行い、その性能を比較してみます。
一番上が iPad mini Retinaディスプレイモデルです。
初代 iPad mini の2〜4倍、第4世代 iPad の1.1〜1.2倍ほどの性能でしたが、iPad Air とほぼ同等である点には要注目です。
ディスク・メモリの能力を比べる
PerformanceTest Mobile で、ディスク・メモリの読み書き速度を計測しました。CPU・2D/3D 描画能力も計測できるアプリなので、その結果もご紹介します。
まずはディスクの読み書き速度のスコアです。
iPad Air・iPhone 5s には劣る結果ですが、初代 iPad mini の2.5倍・第4世代 iPad の1.5倍ほどデータの読み込み・書き込みが速いことが分かります。
メモリの読み書き速度も、iPad Air・iPhone 5s には届きませんでした。初代 iPad の2.1倍・第4世代 iPad の1.2倍ほどです。
CPU の計算能力は Geekbench 3 での結果とほぼ同じです。
一方で iPhone よりもディスプレイ解像度が高いためか、計測方法に問題があるためかは分かりませんが、2D/3D 描画能力は iPhone 5s よりも低い結果に。
ただ GFXBench での計測結果から考えると、iPad mini Retinaディスプレイモデルはむしろ優位であり、iPhone 5s との差は上図が示すほどに存在するとは思えません。
まとめ
初代 iPad mini から見ると大幅な性能向上で、処理能力に不満を持っていた方なら買い替えを検討する価値がありそうです。
また、予想していたほど iPad Air と iPad mini Retinaディスプレイモデルの性能に大きな差がなく、最新機種でお買い得感を求めるなら後者を選ぶのもアリかもしれません。
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