先日発売された iPad Air、11月中に発売される iPad mini Retinaディスプレイモデルには、これまでの iPad にはない通信技術が使われています。
それは「MIMO(マイモ)」です。この技術を使えば、Wi-Fi の最大通信速度を2倍以上に引き伸ばすことができます。
例えば iPad Air の Wi-Fi 最大通信速度は、第4世代 iPad の2倍となる 300Mbps。なじみのある単位に直せば毎秒 37.5MB です。
今回は「MIMO」の仕組み、「MIMO」を活かすために必要な条件をご紹介します。
MIMOで通信速度アップ、その理由とは?
Apple の発表では iPad Air と iPad mini Retinaディスプレイモデル(第2世代 iPad mini)の Wi-Fi 最大通信速度は 300Mbps です。
一方、旧モデルに当たる第4世代 iPad・初代 iPad mini の最大通信速度は 150Mbps と発表されており、最新モデルの半分になります。
この違いを生んでいる要因は「アンテナの数」にあります。iPad Air には2つの Wi-Fi アンテナが搭載されていますが、第4世代 iPad は1本。iPad mini も同様です。
MIMOは複数のアンテナを使う
MIMO はこの2本のアンテナを使い、それぞれで異なるデータを送る・受け取ることができる技術です。この時、Wi-Fi アクセスポイントも2本のアンテナを使います。
1本の Wi-Fi アンテナを搭載する第4世代 iPad と比べると iPad Air は1度に2倍のデータを扱えます。これが Wi-Fi の最大通信速度に違いが生まれる理由です。
Wi-Fi 規格の1つである 802.11n の最大通信速度は 600Mbps ですが、これは4つのアンテナが利用できる場合に限られます。現在の iPad Air は未対応です。
さらにその上を行くのが 802.11ac。iPad は対応していませんが、最大8本のアンテナが利用できる環境では最大通信速度は約 7Gbps になります。
「最大通信速度」と実際の速度
Wi-Fi は電波を利用するため、使用する環境によって通信速度は大きく異なります。
上記でご紹介した「最大通信速度」は理論上の数値なので、どんなに条件が良い環境でも 300Mbps は記録できないでしょう。
ただ、使えるアンテナが1本から2本に増えたことで、従来よりも通信速度は改善されるかもしれません。
iPad AirでMIMOを最大限活かすには?
iPad Air が対応している Wi-Fi 規格は 802.11a/b/g/n です。そのうち 802.11n が MIMO に対応しているので最大通信速度 300Mbps を謳っています。
この仕様を活かすには、「802.11n 対応」で「802.11n 利用時の最大通信速度 300Mbps 以上」の Wi-Fi アクセスポイントが必要です。
というのも、iPad Air の2本の Wi-Fi アンテナを活かすには、Wi-Fi アクセスポイントにも2本の Wi-Fi アンテナが必要になるからです。
iPad Air・第2世代 iPad mini の購入を検討されている方は、いまお使いのアクセスポイントを確認してみましょう。
参考(順不同)
- @IT:【トレンド解説】次世代無線LAN標準のIEEE 802.11nが動き出す
- MIMO(Multi-Input Multi-Output) – テクノロジー解説 – Cisco Systems
- Introduction to Wireless MIMO – IEEE Long Island Section(PDF)