【インタビュー】「グルコサミン」の開発者が語る。収益とダウンロード数を最大化する方法。

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特徴的な3Dグラフィックのキャラクターを使ったアプリを多数リリースしているアプリ開発者hamonをご存知でしょうか。

hamonさんはご夫婦でアプリを開発されていて、アプリ開発者向けの勉強会で登壇するなど活躍されている開発者さんです。

AppBank Network主催の勉強会でも、過去にご登壇頂きました。(その際の記事はこちら → 広告つき無料アプリビジネスの超絶ノウハウが満載。AppBank Network主催勉強会レポート。)


3Dグラフィックのキャラクターもかなり特徴的ですが、アプリの収益化やプロモーションに関して多くのノウハウを持っているところも他の開発者さんとは異なる点です。今回は、アプリ開発者さんが気になる、アプリの「収益化」と「プロモーション」について詳しくお話を伺いました。

インタビューは、アプリに広告をご提供し、収益化のお手伝いをする「AppBank Network」の運営を担当しているAppBankのしょーざが担当しました。それではインタビューをどうぞ!

アプリはこちらからどうぞ
グルコサミン:お相撲さんがヒザをグルグル回してグルコサミンパワー爆発!無料。
茶柱くん:湯のみの中に茶柱をぎっしり入れよう!今日は良いこと、何回おこるかな?

目次

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キャラクターデザインにとにかくこだわっている

– 開発時、何に時間をかけられていますか。

hamon 弘中:2人ともデザイナーなのでデザインに1番時間をかけます。開発のほとんどはデザイン作業で、プログラムは嫌いなので3日程度で終わらせます。デザインには時間をかけているので、同規模同ジャンルの他アプリには、ビジュアルで負けないように努力しています。スタッフ2名以下のデベロッパーには絶対負けたくないです。

– リリースされているアプリで、3Dグラフィックを利用している理由を教えてください。

元々3Dグラフィックのデザイナーだったので、自然とやってるという感じです。カジュアルゲームはほとんど2Dなので、3Dの方が目立てるかなというのもあります。

– 2Dに比べて3Dの方が時間がかかるのではないでしょうか。

そうですね。ただ、1回作ってしまえば、3Dの方が動きを作るのは簡単です。モデルを作ったら、あとは動かすだけなので、2Dに比べて大幅に時間がかかってるという感じはありません。アプリ毎にキャラクターを変えていますが、本来であれば1回作ったキャラクターを使い回せるので、短時間でアプリがリリースできます。

– 同じキャラクターを使い回していない理由を教えてください。

使い回せば、週に2本くらいリリースできると思います。ただ、そもそもキャラクターデザインをすることが好きなんです。毎回キャラクターを作りたいので、1本1本違うゲームを作りたいんです。作りたいものを作りたいというのが基本メインなので、創作がメインになってます。本当に市場調査も全然しないで、自分が作りたいと思っているものしか作っていません。

– 開発のスタンスは、自分の作りたいものを作るということですか。

完全にそうですね。最近はApp Storeのランキングすら見てないです。なので、最近人気のアプリとか全然わかんないです。見ているものといえば、「最も使われている無料アプリランキング50リンク)」をちょっと見ているくらいです。あれだけ見て、今はこういうアプリが売れているんだなと確認しています。App Storeのランキングとはだいぶ違うと思いますが、あのランキングはソーシャルゲームが入っていなくて、個人開発者のアプリが多くランクインしているので、見ていて刺激になります。いつも見ていて、このランキングは開発者が見てライバル心を燃やすページだなと思っています。
最も使われている無料アプリランキング50

個人開発者がマーケティングは難しいとか、やる暇がないという時はとりあえずあのランキングを見ておけば、ソーシャルゲームを排除したランキングが見れるという感じです。個人が戦うならあのランキングの上位を参考にすればいいと思います。定番系のゲームとか脱出ゲームといった寿命の長いアプリが多いんですよね。

– 市場調査もしていないということは、他がどうなっているかよりも独自性を強化しているという感じなのでしょうか。

人は気にしないという感じです。ただ、アプリをリリースする前にリサーチしていないので、正直同じようなアプリもあるかもしれません。「はんぷく!!」は出してから萌え系アプリってどんなものがあるんだろうと、類似アプリを探したのですが、似たデザインのアプリがたくさんあって、あとで気づいてがっかりしました。

– キャラクターデザインを行うときに大変だと感じるところはありますか。

それはですね、大変じゃないんですよ。好きでやってるので、わー楽しいって感じでやってます。

– キャラクターデザインからアプリのゲーム性を決めていく感じですか。

そんな感じです。まずキャラクターが決まってそれからそのキャラクターに合ったゲームを作っています。

– では「グルコサミン」はお相撲さんのキャラクターを作ってから内容を考えたということですか。

最初ちょっと違ったんですよ。最初はスーツを来たサラリーマンだったんですけど、面白くなかったんですよね。ゲーム性も全然違っていて、最初はスーツを来たサラリーマンの音ゲーでした。太鼓の達人みたいな。ただ、面白くなかったのでお蔵入りになりました。今のグルコサミンになったのは、最初にパッとあのアイコンを思いついたことがきっかけです。あのアイコンを思いついて、これは行くしかないと思いました。体型的にもよく転がりそうだし投げつけて遊んだら楽しいかなと思って作りました。

ダウンロード数を確実に増やすなら「自社広告」

– ダウンロード数を増やすために行っていることを教えてください。

自社広告、レビュー依頼、SNSでの告知、PVの作成など個人が無料でできることをできる範囲でやっています。

– 無料でできることは全て行っているという感じですが、実際1番ダウンロード数が増えたものはどれですか。

1番効果がよかったのはテレビに出たことですね。大阪のローカル番組で、関西人が毎日見てる朝7時台の情報番組で紹介されました。アプリ作っているおもしろい夫婦といった感じで紹介されたんですが、その時が1番すごかったですね。あらゆるうちのアプリのダウンロード数がドカンと上がってうわーって感じでした。アプリをやる層はこの番組見ていないんじゃないかと思っていたんですが、意外にダウンロード数が多くて驚きました。

– テレビに出るというのは真似できないので、真似出来そうな範囲で効果が良かったものを教えてください。

うーん、難しいですね。個人で告知とかしても効果はそこまで大きくはないです。ダウンロード数が1番増やせるのは、アプリ内自社広告ですね。自分の作ったアプリから自分の作った新しいアプリへユーザーを送るので相性が良く、自社広告のクリック率やコンバージョン率も高いです。なので、お金を出して広告出稿するよりも圧倒的に割がいいです。本来クリックされればお金がもらえるところに自社広告を出しているので、実質的には自社広告も無料ではなく、お金がかかっているんですけどね。自社広告は完全に無料でできるわけではありませんが、それでもダウンロード数を増やすにはかなり効果が高いです。

– どれくらいアプリがリリースされていれば効果が望めるのでしょうか。

アプリの個数というより、リリースしているアプリのアクティブユーザー数によります。1つしかリリースしていなくても、アクティブユーザー数が多ければ効果は出るはずです。アプリを起動しているユーザーしか自社広告を見ないので、ダウンロード数ではなくアクティブユーザー数が大事です。仮に10本リリースしていてもアクティブユーザー数が、1本あたり10人しかいなかったら全然効果がありません。ヒットタイトルが出せない人はとにかくアプリの数を増やして、自社広告からのダウンロード数を上げていくという感じになります。少なくとも1本出せば100ユーザー集まるので、それを次のアプリに流していくことで初動が上がります。週に1本くらいのペースで次々とアプリを出していけば、リリース毎に初日ダウンロード数は上がっていくはずです。

– 実際自社広告はどれくらいの比率で出しているんでしょうか。

いい時と悪い時で変わりますが、勝負をかけるときは100%で自社広告にします。ずっと出し続けるのであれば、とりあえず20%くらい自社広告で流しておけばそれなりに効果はあるかなという感じです。新作リリース初日だけは100%自社広告を利用したりとか。効果が高いのは自社広告というのは間違いないですね。

– 自社広告で獲得できるユーザー数は、徐々に減っていくように感じるのですが。

確かに、リリース期間が長い人は自社広告で獲得できるユーザー数は減っていきます。なので、新規で呼び込んだユーザーをどんどんと追加していかないといけません。本当に自社広告だけでユーザーをつなげていこうと思ったら、週に1本のペースで出さないと途切れていくと思います。1本づつがヒットしているなら問題ないんですが、月1本では難しいと思います。他の方法も、もちろん効果はあります。レビュー依頼は、掲載されればちゃんと効果はあるし、ツイッターとかもフォロワーがたくさんいる人ならツイートするだけで、ダウンロード数が増えると思います。プロモーションビデオは、レビュー依頼する際に一緒に送れば、見てもらえる確率も上がるし、告知するときも拡散されやすくなります。全部やると結構効果があります。

– 無料でできるプロモーションはすべてやっておけという感じですか。

とりあえず全てやっておけという感じです。特にリリース初日はプロモーションだけしているという感じです。1日中ずっとやってます。ツイートしたり、動画つくったり、レビュー依頼したり、メール送ってみたりしています。

収益を増やすための入口を増やす!

– アプリの収益源を教えてください。また、各収益源の、全体に対する割合を教えてください。

アプリは全て無料で、広告とアプリ内課金で収入を得ています。割合はアプリや時期によって違いますが、大体5:1でほとんどが広告収入によるものです。

– 意外とアプリ内課金されていますね。収益源としてアプリ内課金は用意した方が良いのでしょうか。

そうですね。できるのであればやったほうがいいです。あるのとないのでは全然違います。もしできる要素があるなら、ゲーム内コインやアイテムを用意して、やれる余地があればやったほうがいいと思います。

– アプリ内広告の収益割合を教えてください。

月によって全然違いますが、だいたい半分くらいはバナー広告で、ウォール型とかアイコン型とか全面広告がのこりの半分という感じです。全面広告はAndroidアプリだけですが、海外ではiOSアプリにも全面広告を入れてます。海外だとバナー広告よりも全面広告の方が稼げます。

– アプリの海外対応は行ったほうが良いのでしょうか。

最低限行った方がいいですね。Google 翻訳を使って適当に英語にしてます。とりあえずそれで全部英語化して、英語の説明文とかを入れておくだけでとりあえずダウンロードされます。ダウンロードしてくれた人の何割かが広告をクリックしてくれればそれが利益になります。

– 海外の場合、クリック単価はどのような感じなのでしょうか。

国によって変わります。途上国とかだと低いです。バナーはいろいろなところを使っていてメディエーションしています。CPIは、Chartboostを利用しています。

– 収益を最大化するためにどのような工夫をしてますか。

とにかく新しいサービスやアドネットワークはすぐに試します。そのせいで収益が低下することもありますが、下がったらすぐ戻せば良いので、ずっと現状維持するよりトータルで考えるとメリットの方が多いです。

– どうして新サービスを積極的に利用しているのでしょうか。

新サービスが始まる時は、大抵の場合広告単価が高いからです。報酬額を上げてデベロッパーを呼ぶはずなので、そこを狙っています。サービスインからいきなり絞っていたら誰も使ってくれないと思うので、最初は大盤振る舞いするはずです。その代わり新サービスは、SDKにバグが多いとか、在庫が少ないとか弊害があるんですけど、それを考えてもトータルで見たらどんどん利用したほうが得だと思います。とりあえず新サービスを利用して、ダメだったら即アップデートしています。

– 国内でもAndroidアプリは、全面広告を利用しているということですが、ユーザーから悪い反応を受けませんか。

全面広告を利用してレビューが荒れるということは、今のところありません。たぶんユーザーも慣れているのだと思います。Androidアプリの場合は、アプリ終了時に全面広告が表示されるのが当たり前になってます。ユーザーも終了時に広告が出ることを理解していて、はいはい広告ね、という反応だと思います。なので、Androidでは全画面広告を出しても何も言われません。

– 全画面広告の収益性は、バナー広告に比べて良いのでしょうか。

eCPMベースで比較すると全画面の方が圧倒的に上です。海外ではクリック率が10%を超えます。いいものだと30%なんてこともあります。やはり全面広告の収益性は高いです。海外ではバナーはクリックされないし、クリック単価も低いので全然使えないという感じです。

– 海外ではバナー広告と全面広告の収益比率はどれくらいですか。

海外の場合、バナー広告と全面広告は大体1対3で、全画面広告の方が収益率が高いです。Androidはまた違います。海外だと、利用される国と広告プラットフォームで全然収益率が違うので、収益を比率で表しにくいです。海外でも、途上国ならバナーはまだ収益性はいいのですが、北米だと全然クリックされません。なので、海外でアプリをリリースするならとりあえずバナーと全画面広告の両方を入れるのがベストなのかなと考えています。

– 1つの画面に置いて良いと思う広告数は、どれくらいが最適だと思いますか。

バナーやアイコンなどの広告は置けば置くほど品がなくなります。いくつも広告を配置するとスーパーのちらしみたいになっていきますね。広告数は自分のプライドと収入と相談して決めたらいいと思います。逆にウォール型など世界観を壊さずに配置できる広告は置けるだけ全部置くと良いと思います。でも「おれはもうどうなってもいいんだ!」って人はメニュー以外のスペースを全部広告で埋めればいいのではないでしょうか(笑)。

– 実際、弘中さんはどれくらい広告を置いていますか。

僕は最大でも3つが限界じゃないかと思っています。3つというか3種類。バナー広告とアイコン広告、ウォール型広告へのボタンを配置するという感じです。

– リリースされているアプリの中で、1画面に最も広告を配置しているアプリはどれになりますか。

今だと、グルコサミンだと思います。でも、1画面だとバナー広告とアイコン広告とくらいです。海外だと、その上にさらに全面広告という感じです。日本ではわりと大人しくやっています。

– アプリだけで稼いで食べていくと考えた場合、これはやっておいた方が良いということはありますか。

何か売りがあると生き残れるんですよ。なんでもいいので、これは誰にも負けないぞというものが1個でも、他の開発者よりも優れている武器があれば大丈夫です。例えば、開発スピードが早く、週に3本アプリ作っちゃうくらいの人なら生き残れると思います。うちは、3Dグラフィックのアプリがすぐに作れるというのが売りです。グッディアさんならスピードで、Come-Come Catさんならゲームバランスの調整が他よりも優れています。CUBIC ROOMのAplissさんは、他の脱出ゲームよりも圧倒的にグラフィックが綺麗といった、何かしらの武器がないと勝てません。

フリー素材を利用してアプリ開発している人は、たくさんいますが、売れていると言ったらCome-Come Catさんくらいだと思います。結局、フリー素材を使っちゃうと見た目で個性が出せなくなるので、内容でしか勝負できないんですよね。見た目にインパクトがあった方がアプリ業界では有利なので。ユーザーは、アイコンとスクリーンショットしか見ないですからね。説明文とかは見ずにダウンロードするかどうかを判断していることがほとんどだと思います。

– 初心者が戦うのであれば、開発スピードを早くしていくことでしょうか。

圧倒的に負けないグラフィックが作れるのであれば、3ヶ月とかかけてもいいと思います。実際、CUBIC ROOMはそれくらい時間をかけているじゃないですか。やっぱり何か個性がないと無理ですね。武器がないと生き残れないです。裸で出て行っても勝てないですよ。みんなが磨きぬいた武器を何か1本持って出てきているので、1人素手では勝てないですね。

今後は課金モデルのアプリを目指す

– 今後のリリース/アップデート/開発予定を教えてください。

今後は国内向けのカジュアルゲームはあまり作らず海外向けのコアゲームに注力していく予定です。個人的には、徐々に収益の比率を課金に持って行きたいと考えています。海外で売れている「Temple Run」みたいなモデルを狙おうとしています。広告なしで課金のみというモデルのアプリで収益を上げていくことが到達点かなと思っています。

– ご自身のアプリの自慢を1つして下さい!

個性的なキャラが3Dでぐりぐり動くところです!

– アプリを利用しているユーザーさんへ一言お願いします。

いつも変なアプリに付き合っていただきありがとうございます!居酒屋で作者と一緒に飲みながら「おまえバカだろ」って突っ込んでるような感じで遊んでもらえると嬉しいです。

開発者情報

開発者名:
hamon

最もダウンロードされたアプリ:
スピードHD

リリースしている総アプリ数:
20本

開発体制:
夫婦2人で行っています、両方デザイナーです。

平均開発期間(アイディアの着想からリリースまで):
1~2ヶ月

開発に利用しているツールやソフトウェア:
Unity

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過去のインタビュー

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グルコサミン ・開発: Naoyuki Hironaka
・掲載時の価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 16.6 MB
・バージョン: 2.5.0

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