AppBank の主任です。
本日発売となった iPhone 5c で4種類のベンチマークアプリを使い、そのスペック・性能を数値化してみました。
ベンチマークアプリとは、計算・描画能力を計測するためのアプリ。結果は数字として表示されるので以前の iPhone との比較が行えます。
今回使用したのは CPU の計算能力を測る Geekbench 3・グラフィックの描画能力を測る GFXBench と OpenGL Extensions Viewer・メモリなどの読み書き速度が測れる PerformanceTest Mobile です。
さっそく iPhone 5c での結果を見ていきましょう。
※下記数値はいずれも速報値なのでベンチマークを行ったのは1回のみ。他のアプリはすべて終了した状態で実施しました。
※iPhone 5 の数値は iOS 7 にアップデートしたもので計測。こちらもベンチマークの実施は1回のみ。他のアプリをすべて終了した状態で実施しました。
計算能力
CPU・メモリの仕様
| 機種 | iPhone 5c | iPhone 5 |
| プロセッサ | A6プロセッサ | |
| 最大動作速度 | 1.22GHz（1.25GHz） | 1.3GHz |
| コア数 | 2コア（デュアルコア） | |
| 1次キャッシュ | 32KB | |
| 2次キャッシュ | 1MB | |
| 3次キャッシュ | なし | |
| システムメモリ | 約1GB（1,016MB） | |
CPU は最大 1.25GHz で動作するとの報道もありましたが、この違いの原因として考えられるのは、個体差あるいはアプリが最大値を出せていない可能性です。
システムメモリの容量は iPhone 5 と同じですが、CPU に関しては最大動作速度が若干遅くなっています。この違いは結果に現れるのでしょうか？
スコアを比較
では、Geekbench 3 で CPU の計算能力を計測した結果を見てみましょう。結果はスコアとして数値化され、この数値が高いほど高性能であることを示しています。
iPhone 5 のスコアはシングルコアで「723」、マルチコアで「1,302」です。
「コア」は計算を行う部分です。iPhone 5 と iPhone 5c はデュアルコア、つまり2つのコアを搭載しています。
したがって上記の結果では、1つのコアを計算に使う方法をシングルコア・2つのコアを計算に使う方法をマルチコアと言うことができます。
この他の数値は以下の通りです。
その他の結果
| 機種 | iPhone 5c | iPhone 5 | ||
| シングルコア | マルチコア | シングルコア | マルチコア | |
| 整数演算性能 | 713 | 1,383 | 751 | 1,472 |
| 浮動小数点数演算性能 | 574 | 1,131 | 589 | 1,166 |
| メモリ性能 | 903 | 1,206 | 936 | 1,238 |
グラフィックの描画能力
iPhone 5c は iPhone 5 と同じプロセッサ「A6」を搭載しており、そのグラフィック描画能力もほぼ同じだと考えられています。
GFXBench と OpenGL Extensions Viewer を使い、数値で比較してみましょう。
GFXBenchの結果
| 機種 | iPhone 5c | iPhone 5 |
| GFXBench 2.7 T-Rex HD（C24Z16 Offscreen）（frames） | 382（6.8 fps） | 383（6.8 fps） |
| GFXBench 2.7 T-Rex HD（C24Z16 Onscreen）（frames） | 738（13 fps） | 745（13 fps） |
| GFXBench 2.7 T-Rex HD（C24Z24MS4 Onscreen） | サポート外で計測できず | |
| GFXBench 2.7 T-Rex HD（C24Z16 Offscreen Fixed timestep）（msec） | 82,649（6.8 fps） | 82,587（6.8 fps） |
| GFXBench 2.7 T-Rex HD（C24Z16 Onscreen Fixed timestep）（msec） | 4,0832（14 fps） | 41,064（14 fps） |
| GFXBench 2.5 Egypt HD（C24Z16 Offscreen）（frames） | 3,360（30 fps） | 3,364（30 fps） |
| GFXBench 2.5 Egypt HD（C24Z16 Onscreen）（frames） | 4195（37 fps） | 4,185（37 fps） |
| Fill rate（C24Z16 Offscreen）（texels/sec） | 16114111968 | 1812777216 |
| Fill rate（C24Z16 Onscreen）（texels/sec） | 1736906240 | 1709796480 |
| Triangle throughput: Textured（C24Z16 Offscreen）（triangles/sec） | 94874056 | 94892528 |
| Triangle throughput: Textured（C24Z16 Onscreen）（triangles/sec） | 128053920 | 111485328 |
| Triangle throughput: Textured（C24Z16 Offscreen Vertext Lit）（triangles/sec） | 84361504 | 84423512 |
| Triangle throughput: Textured（C24Z16 Onscreen Vertext Lit）（triangles/sec） | 97263488 | 96692808 |
| Triangle throughput: Textured（C24Z16 Offscreen Fragment Lit）（triangles/sec） | 78441496 | 78536384 |
| Triangle throughput: Textured（C24Z16 Onscreen Fragment Lit）（tirangles/sec） | 95065552 | 95584688 |
OpenGL Extensions Viewerの結果
ベンチマークの条件は以下の通り。その他の点はほかのベンチマーク時と同様です。
この処理は非常に重いので iPhone 5s でも「1.1 fps」、iPhone 5 で「0.7 fps」です。
「fps」の数値が高いほど、より滑らかに 3DCG を描画することができます。
iPhone 5c での結果は「0.7 fps」。iPhone 5 と同じ数値でした。
データの読み書き速度
ここでは PerformanceTest Mobile を使用しました。結果は以下の通りです。
| 機種 | iPhone 5c | iPhone 5 |
| 総合スコア | 3,485 | 3,621 |
| CPU総合スコア | 24,637 | 25,568 |
| Integer Math（MOps/Sec） | 590 | 613 |
| Floating Point Math（MOps/Sec） | 784 | 823 |
| Find Prime Numbers（Thousand Primes/Sec） | 178 | 185 |
| Random String Sorting（Thousand Strings/Sec） | 2,207 | 2,273 |
| Data Encryption（MB/Sec） | 94.2 | 97.1 |
| Data Compression（MB/Sec） | 2.21 | 2.25 |
| ストレージ総合スコア | 12,269 | 13,309 |
| ストレージへの書き込み速度（MB/Sec） | 41.3 | 40.6 |
| ストレージの読み込み速度（MB/Sec） | 147 | 166 |
| メモリ総合スコア | 3,359 | 3,382 |
| メモリへの書き込み速度（MB/Sec） | 584 | 580 |
| メモリの読み込み速度（MB/Sec） | 551 | 588 |
| 2D描画能力の総合スコア | 1,151 | 1,254 |
| Solid Vecotrs（Vectors/Sec） | 1,746 | 1,803 |
| Transparent Vectors（Vectors/Sec） | 1,582 | 1,734 |
| Complex Vectors（Complex Vectors/Sec） | 153 | 160 |
| Image Rendering（Images/Sec） | 795 | 953 |
| Image Filters（Filters/Sec） | 35.7 | 37.9 |
| 3D描画能力の総合スコア | 1,797 | 1,759 |
| Simple Test（fps） | 59.9 | 59.9 |
| Complex Test（fps） | 49.6 | 47.8 |
まとめ：iPhone 5と同等かそれ以下の結果に
ほとんどの結果が iPhone 5 と同じか、それ以下の結果になりました。
iPhone 5 と同じ A6 プロセッサを搭載しているためか、最大動作速度がわずかに遅くなったことが影響を及ぼしているようです。
ただ、これはあくまでも最大限 iPhone 5c の性能を引き出して使う場合であって、普段から使う分には iPhone 5 との違いは感じられないと思われます。
iPhone 5c の魅力は「スペック・性能」というよりも、こうした数字には表れることがない、ボディの色や形といった「デザイン」にあると言えるかもしれません。
