AppBank の主任です。
AppleInsider が、今四半期(7-9月)中に iPhone 5S は520万台・廉価版 iPhone は840万台が生産・出荷されるとの予測を取り上げています。
さらに廉価版 iPhone は、中国を中心に普及している「TD-LTE」という通信方式に対応したモデルが生産されているようです。
予測を行ったのは KGI 証券の Ming-Chi Kuo 氏。先日は iPhone 5S に新色「ゴールド」が追加されるとの予測が報じられていました。
以前に Digitimes の「iPhone 5S の初期出荷台数は400万台以下になる」との報道をご紹介しましたが、それよりも120万台多い予測となっています。
iPhone 5S:やはり指紋センサーに難あり?
Digitimes の報道と同様に Kuo 氏の予測でも、搭載される指紋センサーの歩留まりが低いことから、iPhone 5S の生産ペースが落ちているようです。
(写真は iPhone 5S 用とされるホームボタン)
(画像引用元:New iPhone 5S part leaks show potential fingerprint sensor component | iMore)
「歩留まり」とは出荷できる製品の割合です。これが低いということは、生産しても品質などの問題で出荷できない製品が多いことを意味します。
そのため、7-9月期の iPhone 5S の生産・出荷数が減少する結果となるようです。
一方、10-12月期には2,800万台を生産・出荷すると予測されています。発売から1〜2ヶ月後には入手しやすくなりそうです。
iPhone 5C:生産数がiPhone 5Sより多いのは何故?
(画像引用元:Gallery: White iPhone 5C Back Housing | SonnyDickson)
AppleInsider の記事では明らかになっていませんが、おそらく中国移動通信向けに TD-LTE(TDD-LTE)対応モデルを生産しているためです。
TD-LTEとは?
TD-LTE は主に中国の都市部を中心に展開されている LTE サービスで、中国移動通信が中心となって普及に取り組んでいます。
au・ソフトバンクが iPhone 5 向けに現在提供している LTE サービス(FDD-LTE)とは互換性がありません。
中国移動通信は7億人以上の顧客を持つ、巨大な携帯電話事業者。しかし、独自の通信方式を採用しているので iPhone を販売していません。
その中国移動通信が TD-LTE の導入・普及に取り組んでいることから、TD-LTE に対応した iPhone が発表されることは予想されていました。
中国で売上が落ちたApple、復活には大手キャリア・廉価版iPhoneが必要?
中国などでの売上が落ちている Apple としては、TD-LTE 対応 iPhone を中国移動通信から販売し、業績回復に繋げようとしていると思われます。
なお、Kuo 氏の予測では10-12月期で1,870万台を生産・出荷するとされています。
Softbank 4G(AXGP)も使えるようになる?
日本ではソフトバンクが Softbank 4G として、iPhone 向け LTE とは別に Android 向けの LTE サービスを展開しています。
この Softbank 4G は、中国移動通信が展開する TD-LTE 方式の LTE サービスと互換性があると言われています。
では、廉価版 iPhone で Softbank 4G が使えるようになるのでしょうか。
AppleInsider の記事では TD-LTE 対応モデルが他モデルとは別に生産されているようなので、日本では販売されない可能性が考えられます。
コストダウン・差別化の都合上、廉価版 iPhone では TD-LTE/FDD-LTE の両対応にはしないのかもしれません。
一方、販売価格を高く設定できる iPhone 5S では、TD-LTE と FDD-LTE の両方に対応する可能性があるので、Softbank 4G も利用可能になるかもしれません。