AppBank の主任です。
AllThingsD が、証券会社 BTIG のアナリストの分析として、今の Apple には「中国の大手キャリアとの提携」と「廉価版 iPhone」が必要と報じています。
というのも、Apple が発表した4〜6月期の決算報告によると、中華圏での売上が前期に比べて大幅に低下しているからです。
「中華圏(Greater China)」は中国・香港・台湾の総称で、決算などでよく使われる表現です。
以下のグラフは、Apple の地域別の売上をまとめたものです。黄色が中華圏の売上を示していますが、最後に大きく落ち込んでいるのが分かります。
2013年4〜6月期の売上は、比較できるデータがある中では2番目に低い数値です。
この中華圏での売上低下について、Apple の CEO ティム・クック氏は「はっきりとした理由は分かっていない」としています。
ですが、AllThingsD が取材した証券会社 BTIG のアナリスト Walter Piecyk 氏によれば、中国の大手キャリア「中国移動通信」と提携していないこと・廉価版 iPhone がないことが原因、としています。
廉価版 iPhone の必要性については、以下の記事をご覧ください。
Appleが廉価版iPhoneを発売しなければならない理由とは?
中国移動通信とは?
中国移動通信は7億人以上のユーザーを持つ巨大な携帯電話事業者ですが、Apple とは提携していないので iPhone を販売していません。
その理由として挙げられているのが 3G 回線の規格。中国国産の規格なので、Apple が対応を渋っているとの見方があります。
さらに中国移動通信のユーザーで 3G 回線を利用しているのは約8,800万人ほど。その点も Apple の判断に影響したかもしれません。
こうした状況を変えるかもしれないのが「TD-LTE」です。iPhone 5 向けに提供されている LTE とは互換性がありません。
中国国内では中国移動通信によって国内の15都市でテストサービスを提供中、年末には全国100都市に範囲を広げる予定です。
日本ではソフトバンクが Softbank 4G として提供しているほか、アメリカ・ロシアでも TD-LTE のサービス提供が始まります。
以前の国産 3G 回線のみの時と比れば、TD-LTE もあれば Apple も iPhone を中国移動通信向けに対応させやすくなると考えられます。
なお、今秋発売が予定される iPhone 5S は従来の LTE のほかに TD-LTE にも対応するかもしれない、という噂も出ています。