AppBank の主任です。
Apple が2013年4月〜6月期(Q3)の決算を発表しました。売上は全体で353億2,300万ドル、日本円にして3.5兆円ほどになります。
最終利益は69億ドル(6,900億円)、1株当たりの利益は7.47ドル(747円)。粗利益率は36.9%でした。前年同時期に比べると粗利益率は下がっています。
また、前年同時期と比較した最終利益は2013年1〜3月期(Q2)・4〜6月期(Q3)で連続して減少しています。
iPhone/iPad/Mac/iPod の販売台数(少数点以下は四捨五入)は以下の通りです。隣の列は2012年の同時期の販売台数になります。
製品 | 2013年Q3 | 2012年Q3 |
iPhone | 3,124万台 | 2,603万台 |
iPad | 1,462万台 | 1,704万台 |
Mac | 3,754万台 | 4,020万台 |
iPod | 4,569万台 | 6,751万台 |
前年と比べると iPhone の販売は好調ですが、iPad・Mac・iPod の販売台数は減っています。
2012〜2013年の動きを見ると、昨年9月〜12月をピークに iPhone の販売台数は落ちています。これは iPhone 5 の一時的な売上によるものと思われます。
決算報告会の中で、ティム・クック CEO は iTunes・ソフトウェア・サービス部門の成長も力強いと指摘しています。
この部門は App Store・iTunes Store の売上も含んでいると考えられています。
以下のグラフは、2012〜2013年の同部門の売上をまとめたものです。2013年4〜6月期で売上が多少下がっていますが、これまでは順調に成長しているので来期に注目です。
ヨーロッパ・中華圏での売上が落ち込む
地域別に売上を見ると、ヨーロッパ・中華圏での売上が低下していることが分かります。なお、地域別の売上には Apple Store の売上は含まれていないと思われます。
また、Apple の決算報告における「中華圏(Greater China)」とは、中華人民共和国・香港・中華民国(台湾)の売上を合計したものです。
2013年Q3 | 2012年Q3 | |
アメリカ | 144.05億ドル | 128.06億ドル |
ヨーロッパ | 76.14億ドル | 82.37億ドル |
中華圏 | 46.41億ドル | 53.89億ドル |
日本 | 24.43億ドル | 20.09億ドル |
アジア | 20.46億ドル | 24.98億ドル |
Apple Store | 40.74億ドル | 40.84億ドル |
加えてヨーロッパと中華圏は、2013年1月〜3月期からの売上の落ち込みが顕著です。
以下は、2012〜2013年の各地域の売上をグラフにしたものです。
ヨーロッパでは Nokia も苦戦しており、廉価版のスマートフォンを発売したにも関わらず売上を落としています。
EU の景気にその原因があると考えられていますが、Apple は1〜3月期も前年の10〜12月期と同じ成長率(11% アップ)だったため、期待が持たれていました。
中華圏の売上低下の原因は?
ティム・クック CEO は、中華圏での売上が落ち込んでいる原因として中国経済、とりわけ香港の景気が大きく悪化していることを挙げているものの、中華圏全体で売上が低迷した理由は明確には分かっていないとしています。
一方、iPad の売上が中華圏で伸びたデータもあり、これまでと同様に、Apple は中華圏にアプローチしていくようです。
2013年7〜9月期の見通し
Apple は2013年の7〜9月期(Q4)の売上は340〜370億ドル、粗利益率は 36〜37% と見込んでいます。
2012年の7〜9月期の売上は359億ドルなので、おおよそ同じような傾向になると見込んでいるということでしょう。
ということは、Apple は iPhone 5S・iPad 5 などの発売は9月末、あるいは10月以降と考えているのかもしれません。
というのも、Apple の主力製品が新たに発売されると、その期間の売上は大幅に伸びるからです。
例えば iPhone 5 が本格的に流通し始め、第4世代 iPad・iPad mini も発売された2012年10〜12月期(2013年Q1)の売上は、545.1億ドルにもなります。
ティム・クック CEO も決算報告の中で以下の発言を行っています。
この秋から2014年にかけて発表する素晴らしい新製品に焦点を定め、全力で仕事に当たっています