AppBank の主任です。
Bloomberg によると、Apple が日本で iWatch の商標を出願しました。先月はロシアで商標を出願したことが報じられていました。
さらに 9to5Mac によれば、メキシコ・台湾でも「iWatch」を商標として出願したことが分かっています。
いずれも Apple が直接出願したものであることが確認されています。
そもそも「商標」は主に製品名に付ける際に出願されるもので、出願が認められれば、その名前を独占的に使えます。模造品・類似品対策として効果的です。
最初の出願国はジャマイカ!
Mac Rumors によれば、既に2012年12月3日にジャマイカで商標が出願されています。
同記事によると、多くの企業は商標をジャマイカやトリニダード・トバゴで最初に出願するそうです。
ジャマイカやトリニダード・トバゴで出願された商標は、インターネット経由で簡単に閲覧・検索できないからです。未発表製品の商標を出願するにはピッタリと言えます。
日本などでの効力は?
ジャマイカで先に出願したとはいえ、日本にもその効力が及ぶのでしょうか?
ここで重要になるのが「工業所有権の保護に関するパリ条約」です。
例えば、この条約に参加(批准)している A 国で商標を7月1日に出願します。それから6ヶ月以内の9月1日に、条約参加国の B でも同じ商標を出願します。
すると手続きを行えば、B 国での出願も A 国と同じ7月1日に行われたことになります。
この出願日を遡れる制度は非常に重要です。同じ商標を出願し、それが登録される場合には、先に出願した方が商標の権利を得られる場合があるからです。
この条約は日本・メキシコ・ロシア、そしてジャマイカも批准しています。台湾についても優先権が認められているようです。
ただし、この制度を使っても出願日を遡れるだけです。A 国で商標として認められたからといって、B 国でも商標として認められるとは限りません。
AppleはiWatchを開発中?それとも…?
Apple が iWatch の商標を各国で出願していることは明らかですが、これが Apple から iWatch がリリースされるという証拠にはなりません。
Apple は「iPad」という商標をペーパーカンパニーを使って取得したり、「iSlate.com」なるドメイン名を Apple の名義で取得するといった、マスコミやライバル企業を煙に巻く戦法をとってきたからです。
加えて、iWatch には「長時間稼働するための小型かつ軽量なバッテリ」という技術的な課題もあります。
美麗なディスプレイ・単独での通信機能を持つとすれば、小型で軽いバッテリを使って長い稼働時間を確保することが難しいのは現在の iPhone を見れば明らかです。
TechCrunch が指摘するように、腕時計ほどの大きさで快適に操作できるデザインを考案・実現することも容易ではないでしょう。
仮に iWatch が高機能なものではなく、iPhone/iPad と連携して通知したり、簡単な操作ができるデバイスだとすれば、今秋発売も可能かもしれません。
第6世代 iPod nano が腕時計の文字盤サイズだったのに、第7世代 iPod nano がカードほどの大きさになった点にも注目です。
参考(順不同)
- Apple expands ‘iWatch’ trademark filing world tour to Mexico and Taiwan | 9to5Mac
- Apple Seeks to Trademark ‘IWatch’ in Japan for Devices – Bloomberg
- Apple Purchased iSlate.com in 2007. Apple’s New Tablet Called iSlate? – Mac Rumors
- Will Apple’s Tablet Actually Be Called the iPad? New Trademarks Filed This Week – Mac Rumors
- Apple Reportedly Begins Filing for ‘iWatch’ Trademarks – Mac Rumors
- Apple、日本でiWatchを商標登録 ― 冷静に、待ち続けよ | TechCrunch Japan
- パリ条約 目次 – 特許庁