AppBank の主任です。
iOS 7 が発表される WWDC は、現地時間で6月10日に開催されます。
(画像引用元:WWDC – Apple Developer)
しかし、この日に対応する iPhone を持っていれば、誰でも iOS 7 をインストールできるようになる「一般配布」が開始される可能性は低いです。
iOS の開発にはいくつかの段階があり、これまでの iOS 4・iOS 5・iOS 6 はそれを踏まえた上で一般配布されているからです。
そこで今回は、iOS の開発段階をご紹介しつつ、iOS 7 がいつ頃から自由にインストール可能になるのかを考えます。
iOS一般配布までのステップ
これまでの動きから、iOS が一般配布されるまでには3つの段階があると考えられます。
1. 非公開テスト
まず Apple 社内で行われる、非公開のテストです。開発中の iOS の機能や特徴が外部に漏れないよう、テストに参加できる社員は限られていると思われます。
最近では iOS 7 を使った、ウェブページへの訪問が増えていることが報じられました。
各サイトでiOS 7からのアクセスが増加。開発は新たな段階に?
Apple 本社が利用する IP アドレスは限られているので、そのリストと iOS 7 を示すログを比べると、Apple 本社から iOS 7 を使ってアクセスされた事が分かるようです。
こうしたアクセスの増加は、インターネットを介して外部に接続しても良いという許可が出たことの現れであり、iOS 7 の開発が新たな段階に進んだことを示しています。
2. ベータテスト
次はベータテストです。これは Apple の社員だけでなく、iOS Developer Program に参加しているユーザー全員が参加できます。
iOS Developer Program は、iPhone アプリを開発して App Store で配布する際に加入しなければならないプログラムです。年会費は8,400円。
いち早く新しい iOS を体験できますが、この時に配布される iOS はまだ不完全。App Store で配布されている、多くのアプリも未対応なので不具合も生じます。
あくまでも開発者向けなので、iOS の不具合を見つけてもらうこと・今後のアプリのアップデートに役立ててもらうことが目的です。
このように一般に公開されていない iOS の情報を外部に漏らすと、NDA と呼ばれる契約に違反する恐れがあります。
3. ゴールデンマスター版配布
ゴールデンマスターとは最終版を意味します。よほど大きな不具合がない限りは、数日から2〜3週間以内に一般配布される iOS になります。
ゴールデンマスター版も、iOS Developer Program に参加している人に限って配布されます。アプリ開発者に新 iOS への対応を促すことが目的です。
また、配布開始と同時に、新 iOS に対応したアプリの審査受付が開始されるので、一般配布前に App Store のアプリを新 iOS に対応させられます。
なぜ3つもステップがあるのか?
社内テスト・ベータテスト・ゴールデンマスターと、iOS が一般配布されるまでには、3つの段階があることは先述の通り。
では、どうして段階を踏まえて iOS を配布していくのでしょうか?
第一の目的はバグを発見してもらうこと。社内テストでは想定していなかった使い方によって発見されるバグもあるため、開発者に限って公開することは重要です。
いきなり一般配布する方法もありますが、致命的なバグを抱えていると製品としての信頼性が低下するため、かなりのリスクがあります。
第二の目的はアプリ開発者に時間的な猶予を用意すること。新 iOS が公開されても、その機能を十分に活かしたアプリがなければ無意味です。
iOS 4・iOS 5・iOS 6の場合
これまでの iOS のベータテスト開始・ゴールデンマスター(GM)版配布・一般配布の日付を、以下の表にまとめました。新しい iPhone の発表・発売日も加えました。
iOS 4 | iOS 5 | iOS 6 | |
ベータテスト開始 | 2010年4月9日 | 2011年6月6日 | 2012年6月11日 |
GM版配布 | 2010年6月9日 | 2011年10月5日 | 2012年9月12日 |
新iPhone発表 | 2010年6月8日 | 2011年10月5日 | 2012年9月13日 |
一般配布開始 | 2010年6月22日 | 2011年10月12日 | 2012年9月20日 |
新iPhone発売 | 2010年6月24日 | 2011年10月14日 | 2012年9月21日 |
上記のことから分かる傾向は以下の3点です。
- ベータ版からゴールデンマスター版までは3〜4ヶ月かかる
- ゴールデンマスター版配布から一般配布まで10日ほどかかる
- 一般配布の前に新 iPhone が発表される
- 一般配布の数日後に新 iPhone が発売される
また、iOS 5・iOS 6 では Apple が開催する、開発者向けイベント WWDC でベータテストが始まっています。iOS 7 でも同様かもしれません。
iOS 7は新iPhone発売前に一般配布を開始?
これまでの傾向を元に iOS 7 の一般配布までのスケジュールを予想すると、以下の通りになります。関連して iPhone 5S の発表・発売日も予想しました。
iOS 7 | |
ベータテスト開始 | 2013年6月10日? |
ゴールデンマスター版配布 | 2013年9月の第2週? |
iPhone 5S発表 | 2013年9月の第2週? |
一般配布開始 | 2013年9月の第4週? |
iPhone 5S発売 | 2013年9月27日? |
ゴールデンマスター版配布から iPhone 5S 発売日までは、過去に同種のイベントがどの週・曜日に起きた・行われたかを元に予想しています。
ティム・クック CEO が「今秋から2014年に新製品を発表する」と公の場で発言していることからも、9月後半にも iOS 7 の一般配布が開始されると思われます。
参考(順不同)
- News and Announcements for Apple Developers
- Apple (日本) – Apple Press Info
- Appleのティム・クックCEO、今秋の新製品発表を喧伝 | TechCrunch Japan