AppBank の主任です。
先日公開された iOS 6.1 には「広告識別子のリセット機能」が追加されました。iOS 6 で追加された「広告識別子」を変更する機能です。
とはいえ「広告識別子」そのものが聞き慣れない言葉なので、何に使われるのか・何故リセットする必要があるのかをご存知でない方も多いと思います。
そこで今回は「広告識別子とは何か」「広告識別子をリセットできる理由」「広告識別子をリセットする方法」をご紹介します。
広告識別子とは?
「識別子」とは区別のために付ける文字の羅列です。例えば自分の iPhone は AAAAAA で、友人のは BBBBBB のようにそれぞれで異なり、基本的に同じものはありません。
「広告識別子」は広告を表示するために使われる識別子です。広告を表示するために識別子が必要なのは、利用者の趣向に合わせた広告を表示するため。
広告識別子をそれぞれの iPhone に持たせれば、どの iPhone がどんなアプリを使っているのか・どんなウェブページを見ているのかが分かります。
こうした行動を記録することで、利用者がどんな趣向を持っているのかが分かり、それに合う広告が表示できます。
上記の手法で表示される広告は「追跡型広告」や「ターゲット広告」と呼ばれています。
こうした広告は必要とする情報を表示することもあれば、プライバシーを侵害する恐れもあるため、利用者の側で広告識別子の活用を拒否することもできます。
これを「オプトアウト」と言い、今日では多くの広告サービスでオプトアウトを行う方法が用意されています。
iOS も例外ではなく、後述する方法で広告識別子の活用をオプトアウトできます。
どんなところで使われている?
主に無料アプリの上部・下部に表示される広告に使われていますが、すべてが追跡型広告ではありません。単に広告を表示するだけのものもあります。
Apple が提供している広告システム「iAd」では通常の広告の他に追跡型広告も行っており、後ほどご紹介する方法でオプトアウトできます。
※広告識別子以外の手段で追跡するシステムの場合、以下の方法ではオプトアウトできません。(2013年2月12日追記)
広告識別子をリセットできる理由
オプトアウトできるのであれば、広告識別子をリセット(変更)する必要はないと思われるかもしれませんが、広告識別子はリセットできなければなりません。
リセットできないと特定の広告識別子でそれ以降も追跡されます。オプトアウトすれば回避できますが、ある時点までの行動データとそれ以降の行動データを切り離せないので、追跡型広告を利用したくてもできないケースが生じます。
悪意のある者が長期間に渡って収集した場合、個人を特定できる可能性も増します。変更できなければ認証にも使えるので「なりすまし」の可能性もあります。
リセットすれば、それまでの識別子とこれからの識別子が異なるものになるので、過去の行動データに影響される恐れはありません。
リセットできる以上、これを使ってユーザーを認証するサービスは成立しませんので「なりすまし」を行うメリットも少なくなります。
UDIDとの違い
iPhone や iPad には「UDID」という識別子もあります。こちらは iPhone の製造時に付与されるので、利用者がリセット(変更)できません。
認証に使われるので「なりすまし」に使われる危険性や長期間に渡る追跡が可能である点が指摘されています。
この識別子を用いて広告を表示したり、動向を解析するサービスもありますが、Apple は UDID へのアクセスを全面的に禁止する予定です。
今回ご紹介している「広告識別子」は、Apple が UDID に代わり、広告用途で使えるように導入した識別子です。
広告識別子をリセットする方法
あらかじめ iOS 6.1 へアップデートしておく必要があります。
→iOS6.1のアップデートがきたぞ!機能向上とバグ修正。
左:設定アプリを開きます。
右:【一般】をタップ。
左:【情報】をタップ。
右:画面を下にスクロールして【アドバタイズ】をタップ。
左:【Advertising Identiferをリセット】をタップ。
右:【リセット】をタップします。
広告識別子の活用をオプトアウトする方法
参考(順不同)
- iAd ネットワークからの興味関心に基づく広告をオプトアウトする方法(Apple)
- Apple resumes User Tracking with iOS 6. Here’s how to disable it | Naked Security(Sophos)
- ご注意! プライバシーへの懸念の高まりを受けてAppleはデバイスIDにアクセスするアプリを拒絶し始めた(TechCrunch Japan)