iPhoneで現在地を表示する時に欠かせない「A-GPS」って何?

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AppBank の主任です。

iPhone で地図を見る時に欠かせないのが「現在地」です。道順を検索するのにも、近くのお店を探すのにも始点となるは現在地に他なりません。

今日ではボタンをタップするだけで地図上に現在地が表示されます。その便利さは、周りの状況から現在地を推測していた頃とは雲泥の差です。

iPhone で現在地を表示する際に使う技術はいくつかありますが、今回はその中でもメインとなる「A-GPS」の仕組みをご紹介します。

目次

「A-GPS」と「GPS」

「A-GPS」はいわば「GPS」の補強版です。「GPS」は、ご存知の方も多いと思いますが、主にカーナビに使われている現在地の測定技術です。

その名前の通り「A-GPS」と「GPS」は共通する部分が多く、「GPS」がなければ「A-GPS」は成り立ちません。

そこで「A-GPS」の仕組みをご紹介する前に、まずは「GPS」の仕組みをご紹介したいと思います。

GPSとは?

GPS はアメリカ軍が利用する為に開発されましたが、いまでは非軍事用途でも活用されています。

世界中で現在地が測定できるように、GPS に使う人工衛星は約30基が打ち上げられ、高度2万キロで地球を周回しています。

この GPS 衛星からは現在地の測定に必要な電波が発信されています。これを地上の受信機、カーナビなどで受け取ります。

受信したデータを処理することで受信機が地球上のどこにあるのかが分かり、その結果が地図に表示されたり、数値で表示されます。

測位の仕組み

正確に言えば、GPS 衛星からは3つの情報が発信されています。

電波を発信している衛星の周回軌道データ「エフェメリス」・全 GPS 衛星の周回軌道データ「アルマナック」、衛星に搭載された時計の時刻を知らせる「時刻信号」です。

これらのデータと GPS 受信機の時計を使い、受信機は GPS 衛星と自分の時間差を計測します。

この時間差に電波が伝わる速度(光の速度と同じ)をかけることで、GPS 衛星と受信機の距離が分かります。

この作業を複数の GPS 衛星、最低でも3基以上と行うことで現在地が測定できます。さらに多くの衛星との距離を計測できれば測定精度は向上します。

GPSの弱点

GPS の弱点は最後の測定から時間が経過すると、次の測定に時間がかかること。周回軌道データは古くなると測定に利用できず、新しいデータを受信する必要があるからです。

しかも周回軌道データを運ぶ電波はノイズに弱く、高い建物の近くや屋内では受信できない場合があるなど、受信しにくいという特徴があります。

一方で時刻信号はノイズに強く、受信しやすい形で GPS 衛星から送信されています。

つまり、周回軌道データさえ別の方法で受信できれば、すぐに現在地を測定できるようになる訳です。それを実現するために A-GPS が開発されました。

A-GPSの仕組み

A-GPS は時間が掛かる「周回軌道データの受信」を衛星からではなく、地上で行います。データを近くの携帯電話基地局から受け取るのです。

基地局の位置は変わりません。そのため、どの時間帯にどの GPS 衛星が上空にあるのかはあらかじめ分かっています。これに基き、必要なデータを送ります。

このやり取りは地上で行われるので通信速度が速く、データをスムーズに受け取れます。衛星からの電波を受信するよりは確実です。

そして、受け取ったデータと GPS 衛星からの時刻信号を使って計算することで、現在地がすばやく測定できるという訳です。

A-GPS に対応している iPhone/Cellular 版 iPad も同様に周回軌道データを基地局から受け取り、現在地を測定しています。

A-GPSの弱点

しかし、A-GPS にも弱点はあります。それは「基地局」です。

基地局からデータを受け取るので、基地局と通信できない地域では A-GPS を使った現在地の測定ができないのです。

過去には A-GPS のみに対応した携帯電話があり、そうした機種では圏外地域では現在地が表示できませんでした。

現在では A-GPS と GPS の両方に対応した機種が多く、小生がテストした限りでは au・ソフトバンク版 iPhone の両方が GPS に対応しています。

前述の通り、GPS に対応していれば時間はかかっても現在地が測定できます。

ですから、地図データを別途用意する必要があるものの、上空が開けている場所であれば「現在地が分からない」という事はほとんど起こりません。

参考(順不同)

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