なぜiPad miniはRetina Displayを搭載していないのか?

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AppBank の主任です。

先週発表された iPad mini はリーク情報・予想通りの価格・スペックとなりましたが、iPad 2 と同じ「A5プロセッサ」「非Retina Display」という仕様には様々な意味で注目が集まっています。

そこで今回は、なぜ Apple は iPad mini に iPad 2 と同じプロセッサ、同じ解像度のディスプレイを搭載したのかについて考えてみます。

目次

理由1:価格設定

7インチタブレットの市場に製品を投入するとなれば、どうしても重要なのは「価格」です。

iPad は当時ほとんどライバルがいなかった、10インチクラスのタブレット市場に参入した結果、高いシェアを確保したので、価格決定において主導権を持っています。

iPad mini の場合は違います。既に Google のタブレット「Nexus 7」や Amazon のタブレット「Kindle Fire」が市場を席巻している状況で投入されます。

先行する Nexus 7 は約2万円、Kindle Fire HD は15,000円ほどで購入できるため、iPad mini はこの価格帯に合わせる必要がありました。

そのため、ディスプレイと計算に用いるプロセッサを少し前のもの、つまり iPad 2 と同スペックのものにすることで製造コストを下げることになったと考えられます。


理由2:軽さ重視の設計

また、7インチクラスのタブレットとして販売するには「軽さ」も重要です。Nexus 7 は340グラム、Kindle Fire HD は395グラムです。

そこで Apple は従来の iPad の半分ほどの重さの iPad mini を開発しました。この「軽さ重視」の設計が Retina Display を搭載できなかった理由の1つです。

Retina Display を搭載した場合、iPad mini のプロセッサが扱う、画像の表現に使うピクセルの数は Retina Display でない時に比べて4倍にもなります。

これをスムーズにコントロールするにはプロセッサに高い能力が求められますが、消費電力が多いので大容量のバッテリが必要不可欠です。そうなれば iPad mini の重量は増えてしまいます。

A6 プロセッサや IGZO 液晶などを導入すれば、ある程度の軽さを維持しつつ、Retina Display 化も困難ではなかったと思われますが、問題は価格。いずれのパーツもコストがまだ高く、それを販売価格に転嫁すれば競争力は失われます。

Apple は「安さ」と「軽さ」を両立する為に、Retina Display の搭載を見送ったと言えるでしょう。


Retina Display搭載のiPad miniが出る可能性

今後、 iPad mini に Retina Display を搭載したモデルが出る可能性は非常に高いです。

現時点ではコストが高いパーツも1〜2年後には価格が下がります。そうなれば iPad mini にも Retina Display が搭載される可能性が増してきます。iPad のライフサイクルで考えれば、3世代目で Retina 化されるかもしれません。

また、iPad 2 よりもピクセル密度が高いとはいえ、競合製品に比べると液晶の精細さは劣ります。今後、競争力を維持する上で Retina Display 化は必須と思われます。


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