6月8日(金)にAppBank Networkが初めて主催した勉強会が行われました。
各ジャンルで活躍されているディベロッパーさんから、その成功の秘密やビジネスのポイントをご講演いただきました。
登壇者の方々はこちら。
- 面白革命capsule+ 山中眞一郎氏
- MF☆ラノベコミック 宮木良磨氏
- BOOK☆WALKER 橋場一郎氏
- パズル&ドラゴンズ プロデューサー 山本大介氏
- genesix 取締役 冨田憲二氏
貴重なお話の中から、公開可能なモノだけをピックアップしてレポートしていきます。
(全部聞きたい!という方はぜひ次回の勉強会にご参加下さい!)
今回の勉強会は、ミクシィさんに会場をお貸し頂くことで実現しました。ありがとうございました!iPhoneアプリのデベロッパさんを常に募集しているとのこと。ご興味のある方は応募してみて下さい。
面白革命capsule+ 山中氏:アドネットワークって儲かる?
今最も熱いゲームアプリ開発チーム二人組、面白革命capsule+の山中氏に、アプリで稼ぐ秘訣をご講演いただきました。
2012年3月からiPhoneゲームアプリの開発を本格的にはじめ、これまでに無料ゲームアプリを22本リリース。一番ダウンロードされた「とどけぇぇえ」が170万ダウンロードで、累計700万ダウンロードを突破したそうです。驚異的な数字です。
AppBankでも数多くのアプリをレビューしています(だって全部面白いから!)。
→ Capsule+ – AppBank
広告ネットワークでの収益は「ぼちぼちでんなぁ〜」
広告ネットワークでは「生きていくぐらいのお金は稼げる」という山中氏。
広告ネットワークでの収益を上げるために大事なポイントは コンバージョン率を上げて、クリック単価を高くする 。その具体的な方法として、以下の二つを挙げられていました。
- 広告管理画面で自分のアプリの客層にマッチした広告を表示する
- 広告掲載位置を調節してミスクリックや誤クリックを防ぐ
広告掲載位置の変更によって、ミスクリックは減り、次のような効果が現れたそうです。
- 単価の改善(5倍以上に!!!!)
- ブランドイメージ向上(レビューでも神アップデートという評価)
- 長い間遊んでくださるユーザー様の増加
ミスクリックでもいいからクリックされればいいというのではなく、【広告主】【開発者】【ユーザー】3者のバランスが重要とのこと。トリプルウィンの関係を築けば、自分たちに返ってくるというお話でした。
capsule+のゲーム作り
Appbank氏のインタビューを通じて、capsule+さんのゲーム作りに迫りました。
私は、山中氏の次の発言にぐっときてしまいました。かっこいい!!
ゲーム作りは 好きな子にあの手この手で自分の想いを伝える告白と同じ 何度ふられても自分の心を伝えるいろんな方法で。ゲーム業界はめげちゃだめ!
また、「約2ヶ月で22本ものアプリをリリースしているなんて、何と戦っているんですか?」という質問に対して「元々別の仕事をしていましたし、この仕事1本で行くという理解を周りから得るためにも並大抵の努力じゃダメだろうという思いで。」とゲームへの熱い想いを語られていました。
AppBank Network の特徴について
次にとしずむこと脇から、AppBank Network 最大の特徴、AppBankプラスについてご紹介致しました。
AppBankプラスとは、AppBank Network に参加することで、アプリがAppBankで露出されるサービスです。以下の3ヶ所でアプリが紹介されることで、数百〜数千ダウンロード増の効果が今までにありました。
- セール情報記事への掲載
- アプリ内の無料アプリ
- 最も使われている無料アプリランキング
アプリは出したけれど、プロモーション手段がない…という方、ぜひ AppBank Network にご参加下さい!詳細は以下よりどうぞ。
→ AppBank Network – iPhone、iPadアプリの収益化を実現する広告ネットワーク
MF☆ラノベコミック & BOOK☆WALKER:ライトノベルビジネスの方法
ここ半年間で、トップセールスにたびたびランクインしている電子書店アプリに共通している「ラノベ」。そのラノベを扱っているアプリMF ラノベ☆コミックの宮木氏、そして「BOOK☆WALKER」の橋場氏に、お話を伺いました。
MF☆ラノベコミック 宮木氏
MF ラノベ☆コミックは、「ダ・ヴィンチ」や「MF文庫J」でも有名なメディアファクトリー様のアプリ。ライトノベルのコミカライズや映像化など、クロスメディア展開に力をいれており、iPhoneアプリもその中の一環として位置づけているとのことです。
当日朝のトップセールスは38位。ライトノベルには「一回読んで頂いた読者がレーベルのファンになり読み続けてくれる」という特徴があり、一人のお客様が複数買ってくださるため、この成果がでているとのことでした(海外のAmazonでもハーレクインで同様の事が起きてるとのこと)。
アプリのUIの話も印象的でした。書籍一覧や、書籍の挿し絵でキャラクターがしっかり見えるように工夫されたそうです。キャラクターがかわいいラノベの価値を最大限に活かしている、とても良いアプリだと思います。
BOOK☆WALKER 橋場氏
ダウンロード数がiOS・Android合計で70万DLを突破したBOOK☆WALKER。アニメになっているような旬のラノベ作品が売り上げランキング上位を締めているそうで、こちらもトップセールス上位の常連アプリです。
電子書籍は購入までのハードルがとにかく高い反面、一度買い始めると継続してくれる人が多いそうです。複数冊買って初めて電子書籍のよさがわかってくるのではないかと分析しているとのことでした。
また、勉強会にて、「BOOK☆WALKER」と「MFラノベ☆コミック」が一度の決済で相互利用可能になる「電子書籍の相互本棚同期機能」を2012年内にリリースするとの発表がありました。これはすごい!!
→ 「BOOK☆WALKER」と「MFラノベ☆コミック」が一度の決済で相互利用可能に 電子書籍の相互本棚同期機能を2012年内にリリース|株式会社角川コンテンツゲートのプレスリリース
AMWの倉西氏登場!今後のラノベ業界について語る!
最後にアスキー・メディアワークスの倉西誠一氏が登場し、宮木氏、橋場氏を交えたトークセッションが行われました。とても面白いお話だったのですが、、、基本的にオフレコ!!残念ながら公開できません。
オフレコも含めて気になる方は、ぜひ次回の勉強会はご参加下さい!
パズル&ドラゴンズ プロデューサー 山本氏:ソーシャルゲームに負けないスマホのゲームづくり
トップセールスの1位に君臨するパズル&ドラゴンズ。プロデューサー山本氏のゲームに対する愛情が感じられるご講演を頂きました。
パズドラ開発の方針10か条
山本氏が「これがよかったのかな」と感じた開発方針を10、教えてくださいました。金言ばかりの10箇条はずばりこちら!
- 企画段階でKPIなんて考えないでください
- プロトタイプでは面白さだけを見て
- 売り方だけは先に考えておいてください
- 遊んでくれないのには理由があります
- 有料販売クオリティで開発してください
- ソーシャルゲームを否定しないでください
- 一番遊ばせたいところはサーバで管理してください
- 私が出来ることに限界があることを忘れないで
- あなたには家族や友達がいます
- お願いです。どうか私をパクらないでください
ここでは特に印象深かったものを抜粋してご紹介します。
プロトタイプでは面白さだけを見て
山本氏のご講演でたびたび登場したのが「面白いゲーム」というフレーズ。パズドラが、誰しもがハマってしまう面白いゲームになったのは、とにかく「面白さ」を追求する姿勢なのだと強く感じました。
遊んでくれないのには理由があります
ゲームを遊びはじめることにおいて、以下の点を気を心がけたそうです。ユーザーネームは私も何度も弾かれて悲しくなったことがあります!
- ユーザーネームの登録は重複可能に
- メアドなど個人情報を登録させない
- 広告効果測定のためなどに無駄なwebページにリンクしたりしない
有料販売クオリティで開発してください。
私が一番驚いたのはこちら。なんとパズドラは「170円で販売する想定で」開発を行ったそうです。
iOS市場では決して安い価格ではない170円のクオリティを実現することで、ハイクオリティのゲームを作れたと感じているそうです。
私が出来ることに限界があることを忘れないで。
ゲーム内で全てを説明するのではなく、積極的に攻略記事や公式ツイッター等へリンクをゲーム内から貼ることを意識されているそうです。
過度なチュートリアル、情報発信がゲームプレイに悪影響を及ぼす可能性があるだけでなく、攻略記事へのリンクを貼ることで、根も葉もない噂が広まっている情報ソースにユーザーがアクセスしないようになるという利点もあるとのこと。
これが、継続率の向上につながっている感覚があるとのことでした。
*AppBankの攻略情報にもリンクを頂いております!→ 【パズドラ攻略】パズル&ドラゴンズの上達法・攻略情報まとめページ
また、パズドラスタジオでは今後、海外版・コンシューマ版・グッズ展開も考えていくので、幅広く人材を募集しているとのことでした。
genesix 冨田氏:開発プロセスにおける10の実例ポイント
最後はgenesixさんから、アプリ開発・リリースのフローで実践されていることを各ステップごとにご紹介いただきました。
アプリ開発の10ステップはこちら!
- モノづくり哲学
- サービスデザイン定義書
- UXデザイン定義書
- ペーパープロトタイピング
- 小さく賭ける
- 検証→学び→アップデート
- WHYからはじめるマーケティングメッセージ
- ソーシャルメディアマーケティング
- ブログマーケティング
- マネタイズ
ここでは特に印象深かったものを抜粋してご紹介します。
サービスデザイン定義書
アプリ開発中に立ち戻るものを、ここで確固たるものとして定義するそうです。特に重要なのが「ビジョン」。例えば、アプリ「速報!プロ野球2012」では「全てのプロ野球ファンのために24時間365日プロ野球漬けの生活を提供する」と定義されたそうです。
小さく賭ける
私が最も感激したのがこの「小さく賭ける」という考え方。
「100個のメモを封筒に入れて閉じる作業」を複数人する時に、役割分担して作業するか、一人一人が同封作業を行うか、どちらが早いのか。実は明確に「後者の方が早い」そうです。
大きな理由は二つあり、一つは「役割分担すると、”封筒を重ねる””封筒を移動する”といった、一人で行う場合には生じない作業が発生するから」もう一つは「封筒のサイズが小さすぎた場合、役割分担だとなかなか気がつかないから」という理由があるそうです。
それと同じで、アプリも同時並行にたくさん作るのではなく、「小さく賭けて」、どんどんリリースしていくことを重要視しているそうです。
WHYからはじめるマーケティングメッセージ
アプリ開発の一番最初「サービスデザイン定義書」で定義したビジョンがマーケティングメッセージへと進化するという、ものすごく勉強になるお話なのですが、内容がそのまま genesix さんのブログに掲載されていました。
ぜひ読んでみて下さい!
→ WHYからはじめるアプリ説明文の成功事例(速報!プロ野球2012の場合) « ジェネシックスブログ
最後に AppBank Network も紹介頂きました。ありがとうございます!
上記でご紹介頂いた内容は、一部ブログの記事にもなっています。ぜひgenesixさんのブログもチェック下さい。
→ ジェネシックスブログ
以上がご講演内容です。
この後、残り時間が短い中、名刺交換会が行われました。こちらも大盛況。遅くまで会場を提供してくださったミクシィさん、ご講演者の方々、そして参加してくださったみなさま、誠にありがとうございました。
次回は2ヶ月後!
AppBank Network主催の勉強会は今後も定期的に開催していきます。気になった方、ぜひ次回ご参加ください。