買うなら「新しいiPad」と「iPad2」どっちがいい?【初代iPadからの買い替えも】
いよいよ明日、 新しいiPad いわゆる第三世代 iPad が発売されます。
この機会に初代 iPad から買い替える方や新たに iPad を購入する方にとって悩みの種となるのが、どちらの iPad にするのかという問題です。
というのも、 新しいiPad の販売と並行してその前機種である iPad2 の販売も継続されるからです。よって、この問題は iPad2 から買い替える場合を除いて避けられません。
そこで今回は 新しいiPad と iPad2 を比較し、どこに違いがあるのかを考えます。また、初代iPad から買い替える方や新たに iPad を購入する方にとってベストな機種はどちらなのかについても考えてみます。
新しいiPad と iPad2 を比較する
新しいiPad と iPad2 の違いを明確なものにするため、両者のスペックを比較してみましょう。いずれも Wi-Fi 版です。Wi-Fi + 3G 版・Wi-Fi + 4G 版とは異なります。
項目 | iPad2 | 新しいiPad |
サイズ(ミリ) | 241.2×185.7×8.8 | 241.2×185.7×9.5 |
重さ(グラム) | 601 | 652 |
ディスプレイ | 9.7インチ(1024×768px・IPS) | 9.7インチ(2048×1536px・IPS) |
ピクセル密度(ppi) | 132 | 264 |
プロセッサ | A5(デュアルコア CPU(1Ghz)/GPU) | A5X(デュアルコア CPU(1Ghz)/クアッドコア GPU) |
メインメモリ | 512MB | 1GB(1024MB) |
Wi-Fi | 802.11a/b/g/n | |
Bluetooth | Bluetooth 2.1 + EDR テクノロジ | Bluetooth 4.0 |
カメラ | 前:30万画素/後:92万画素 | 前:30万画素/後:500万画素 |
撮影可能な動画サイズ | 720p HD | 1080p HD |
カメラの付随機能 | タップで露出コントロール | 写真撮影時の顔検出/動画撮影時の手ブレ補正/オートフォーカス/タップでフォーカス |
AirPlay ミラーリング | 最大 720p | 最大 1080p |
連続インターネット利用時間(Wi-Fi) | 最大10時間 | |
容量 | 16GB | 16GB/32GB/64GB |
価格 | 34,800円 | 42,800円 (16GB)/50,800円(32GB)/58,800円(64GB) |
では、ここからは以上の表を分かる違いをご説明していきます。
サイズ・重さ
サイズはほぼ同じです。異なるのは厚みで0.7ミリの違いです。この厚みの違いはほとんどのケースで問題ないので、iPad2 から買い替える場合にはケースの流用が可能です。
また、 新しいiPad は iPad2 より50グラムほど重くなっています。これをデメリットと見るかは iPad を持ち運ぶか否か、持ち運ぶとしてもその方法によります。
ディスプレイ
ディスプレイサイズは同じままで解像度は4倍、ピクセル密度は2倍になっています。
ここで注意して頂きたいのは解像度の違い。 新しいiPad はピクセル数が4倍になっているのですが、1度に表示できるテキストや画像の量が4倍になった訳ではありません。
1インチあたりのピクセル密度が増えたことで、表示する情報のディテール(写真のディテール・フォントの曲線など)をより正確に表現できるようになったのです。
プロセッサ
新しいiPad と iPad2 のプロセッサは異なるものです。前者には A5X 、後者には A5 プロセッサが搭載されています。
A5 と A5X で大きく異なるのは描写のための計算を行う GPU。これがA5X ではクアッドコアに変更されており、iPad2 に比べて大幅な性能向上が期待できます。
そもそもこのような改良が行われたのは、 新しいiPad では Retina Display を採用しているからです。また、その能力の高さから、高解像度写真の閲覧・編集、動画の撮影・編集、3D グラフィックを多用したゲームなどがよりスムーズに動くことが予想されます。
メインメモリ
iPad2 のメインメモリは 512MB でしたが、どうやら 新しいiPad では 1GB のメインメモリを搭載するようです。
メインメモリの容量はイコール机の広さと考えて差し支えないでしょう。
容量が多いのであれば机が広いということです。机が広ければ複数の作業を並行して行えますし、大きな机が必要な仕事もこなせます。容量が少ない場合はそうはいきません。
ですから、特に大きな机が必要な仕事、例えば高解像度写真の編集や動画の編集といった作業を行うには、 新しいiPad の方が向いていると言えるのではないでしょうか。
Bluetooth
iPad2 は Bluetooth 2.1 + EDR テクノロジを搭載していますが、 新しいiPad は Bluetooth 4.0 を搭載しています。
ただ、Bluetooth 4.0 対応製品は少なく、さらに 新しいiPad に対応しているものはほぼ皆無なので、現時点ではこの点が iPad2 との大きな違いとは言えません。
カメラ
フロントカメラの画素数に変化はないようですが、 新しいiPad のリアカメラは iPad2 のそれに比べておよそ5倍の画素数を誇ります。
新しいiPad ではカメラの構造も更新されているので、より多くの光を取り込むので明るく、そして色の再現性の高い写真が撮影できるようになっています。
また、 新しいiPad ではカメラの画素数の向上ともとに iPad2 では不可能だった 1080p 録画にも対応しています。
カメラの付随機能
iPad2 がタップで露出を調整できただけでした。 新しいiPad ではオートフォーカスのほか、写真撮影時に被写体の顔を認識したり、動画撮影時に手ブレの補正が行われます。
また、Apple のウェブページには記載されていませんが、先日の 新しいiPad の発表会では、動画撮影時のノイズ低減機能もあるとの発表がありました。
AirPlay ミラーリング
AirPlay によるミラーリング機能にも違いがあります。iPad2 は最大で出力解像度が 720p でしたが、 新しいiPad では 1080p です。
ただ、この違いは第三世代 Apple TV と 1080p 再生に対応したテレビがなければ実感できません。というのも、第二世代 Apple TV は 1080p には対応していないからです。
容量
iPad2 は廉価版という位置づけなので 16GB モデルのみです。 新しいiPad は 16GB/32GB/64GB の3つのモデルがあります。
表記上は 16GB/32GB/64GB となっていますが、フォーマットしたり iOS をインストールしたりするので、その表記よりも実際に使える容量は少ないです。
16GB モデルは約 14GB 、32GB モデルは約 28GB 、64GB では約 57GB ほどが実際に使える容量だと考えられます。これらは推測値なので、実際とは異なる場合があります。
価格
一番安い Wi-Fi 版 iPad2 の 16GB モデルと、Wi-Fi 版 新しいiPad の 16GB モデルを比較した場合、価格には8,000円の違いがあり、iPad2 の方が安いです。
新しいiPad の懸念材料
それは、 新しいiPad の Retina Display に対応したアプリがどれほどリリースされるか、またはどれほど早くリリースされるかということです。
例えば、定番アプリの GoodRedaer for iPad や i文庫HD は、執筆時点では Retina Display には対応していません。なぜ Retina Display に対応する必要があるのかというと、先述の通り iPad2 と 新しいiPad ではディスプレイ解像度に違いがあるからです。
よって、Retina Display に対応していないアプリを表示した場合、既存の画像ファイルを引き伸ばして表示するため、ドット感が強い(ジャギーのある)見た目となります。
一方で、iPhone4S発売時も同様の懸念がありましたが、時間が経つにつれて改善されました。 新しいiPad の発売直後も同様の問題が散見されるかもしれませんが、発売から次期が経てば解消されるでしょう。
よって、いまは買い控えておき、Retina Display 対応アプリが充実してきてから買い替えるというのも1つの選択肢となり得ると考えられます。
初代 iPad からの買い替え組はどちらが買いか?
選択のポイントは4つあります。
容量
容量に特に大きな影響を及ぼすと見られるのが、Retina Display 化にともなうアプリサイズの増大です。なぜ増えるのかというと、アプリ内の画像を Retina Display 用と非 Retina Display 用の2通り収録する必要があるからです。
以下のウェブページでは、アップデートによって Retina Display 化を果たしたアプリの容量をアップデート前とアップデート後で比較されており、参考になります。
iPadのRetina化でアプリサイズはどうなる?純正アプリのアップデート前後で比較してみた | yuhnote
また iOS のアップデートによって使用可能な容量が目減りする可能性もあります。
したがって、もし今お使いの初代 iPad 16 GB モデルをギリギリの容量でお使いの場合、16GB モデルしかない iPad2 に買い替えると将来的に容量が不足する可能性が大です。
よってこの場合、必然的に 新しいiPad の32GB/64GB モデルを選択せざるを得ません。初代 iPad で 32GB/64GB モデルをお使いで容量が不足している場合も同様です。
カメラ
初代 iPad にあって 新しいiPad にあるもの、それはカメラです。iPad2 にもありますが実用的な性能とは言えません。
新しいiPad であれば500万画素のリアカメラを搭載しており、オートフォーカスや写真撮影時の顔検出・動画撮影時の手ブレ補正機能もあります。
iPad で動画や写真を撮る、あるいは撮った写真・動画を編集するのであれば、 新しいiPad の方がより楽しむことができるでしょう。
Retina Display
描写の美しさが前評判通りであれば、iPad2 は逆立ちしても 新しいiPad には勝てないでしょう。写真や文章をもっと美しく表示するには 新しいiPad しかありません。
iPad2 の液晶も初代 iPad から比べるといくらか改善されましたが、ピクセル密度やディスプレイ解像度は同じなので、描写力では 新しいiPad が勝ります。
ただ、既存のアプリが Retina Display に対応するか否かでも Retina Display の可否は分かれると思います。よって、もしお気に入りのアプリが Retina Display に対応するのを待ってから購入する方が良いのかもしれません。
性能
最新のゲームアプリや高解像度写真の編集、動画の編集などを行うのであれば、まず 新しいiPad を買っておけば間違いありません。メモリの容量から言ってもそうでしょう。
一方で初代 iPad を使う時と同じように次の iPad も使うのであれば、iPad2 でも良いかもしれません。 CPU の動作速度は iPad2 と 新しいiPad では同じだからです。
処理速度の遅速は他の要因による部分もありますが、初代 iPad から iPad2 に買い替えるだけでも処理速度の大幅な向上が見込めます。
新たに iPad を買う人にはどちらが買いか?
特に理由がなければ 新しいiPad がオススメです。というのも、 新しいiPad を買っておけば、iPad2 で出来ることはすべて行えるからです。また、容量が自由に選べるというのも 新しいiPad の利点です。
16GB モデルで比較した場合、iPad2 の方が8,000円ほど安いのですが、グラフィックの処理能力やカメラの性能を考えた時、より iPad を楽しめるのは 新しいiPad でしょう。
逆に言えば、グラフィックの処理能力やカメラの性能を必要としないのであれば、8,000円も安い iPad2 はお買い得と言えます。どういったアプリがこの条件に合致するかと言えば、テキストエディタや ToDo・ウェブブラウザ・RSS リーダーなどです。