今回、ダ・ヴィンチ電子ナビよりご紹介頂く「今週はこの一冊!」はこぼれそうな唇です!この記事の執筆者はダ・ヴィンチ電子ナビの「浦和ツナ子」さんです。
「今は恋愛より仕事が楽しいし」、「忙しくて付き合っているヒマがないんだよね」、そんなクールな理由で男と別れたことのある自称働きマンの私も、ついに人妻です。
生き方が多様化する現代、女性に常に突きつけられてきた「仕事か、結婚か」の命題。どちらかしか選べないと言っても過言ではないくらい、この二択って女性にとって大きなテーマなわけなんです。大学を卒業し、そろそろアラサーを迎える私にとって、その答えは正直まだ出ていませんでした。なんとなぁくなタイミングで結婚を決めた私は、この2つで揺れ動く“彼女たち”がどう生きていくかを俯瞰してみたいと思ったのです。
夢はお嫁さんになること、そのためなら手段を選ばない、ちょっとイタい大学生エミリ。有名スタイリストのアシスタントとして、文字通り寝る間も惜しんでガムシャラに働く彩。そんな彩と6年間ダラダラ付き合って来た、孝太。孝太はエミリと浮気をしてしまい、彩とは関係修復できない泥沼に陥って…。このラブストーリーは、交錯する三人の思いで語られていきます。
私はこれまで、自分は彩タイプの女子だと信じて生きてきました。だけど、この作品を読んで気がついちゃったんです。私のなかにもエミリがいることが。孝太に一度抱かれただけで、既に付き合える気マンマンのエミリの挙動に共感させられる部分が多いこと多いこと。メールの内容を何度も読み返しては、「?マークなんて付けなければよかった」とか、「この絵文字、本気っぽくて嫌がられないかな」とか。「孤独という重力に引かれるようにして、わたしは恋に、落ちてゆく」なんてのはもう、私もベッドの上で思わずずーんと恋に落ちてきた瞬間のデジャブを感じてしまったほど。エミリって、あの「江古田ちゃん」で言うと猛禽類タイプで、正直女子人気はサイテーなんですよ。妊娠してないのに「私、妊娠したの!」とかスゴいことを言い出しちゃう感じ。恋愛至上主義って、ダサイし恐ろしい…。随所随所で「うわ〜、この女ホントにありえない!」とは思うんだけど、そんなエミリが自分の中にしっかりいる私。なんだか解せない。
そのモヤモヤがふっと解き放たれたのが、終盤の彩の章にて。孝太と別れ、スタイリストとして独立した彩は新しい恋を始めたところ。自分にはまた真剣な恋愛ができるのか、誰かをきちんと信じることができるのか、不安がないと言ったらウソになる。仕事も軌道にのってきたし、正直ここで恋愛に時間を取られていいものか。いつだって私は恋より仕事を選んできた、という葛藤。だけど、彩はもう恋を止められない。ツイッターのメッセージで相手とやりとりをしている片思い中の彩が、かつて孝太とメールを始めたときのエミリとそっくりだったんです。
各々自分の“居場所”を見つけるのに必死で、どこに人生のプライオリティを置くか、真剣に悩んできた女性たち。みんな孤独で、自分勝手で、それでも意地はって、誰かに寄り添って生きている。仕事か結婚か、どっちかひとつを選ばなくたって、幸せは必ず手にはいる。世界は私たち女性が難しく考えあぐねているより、ずっと寛容で優しいものなんだ。私にとってこれはラブストーリーではなく、女性の生き方の指南書のような気がしました。
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開発 | SHOGAKUKAN INC. |
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掲載時の価格 | ¥1,000 |
ジャンル | ブック |
容量 | 17.3 MB |
執筆時のバージョン | 1.0.1 |
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