消費財メーカーや飲食業者がソーシャルメディアを活用して顧客を獲得するというのはすでに当たり前。この記事をご覧のあなたが「成功事例」として耳にしてきたソーシャルメディア活用事例も、概ねこういった領域の話なのではないでしょうか。
一方で、製造業やB2Bサービスといった“消費者”が目の前にいない事業にとって、ソーシャルメディアは眉唾なマーケティング手法に見えるでしょう。「本当に意味があるの?」確かにその通り。
そのような疑問に対して、ソーシャルメディアに関する情報を発信している最大手のブログであるMashableが、「製造業」「B2Bサービス」さらには「馬の歯医者」といった超ニッチ領域の事業者のソーシャルメディア活用成功事例を紹介しています。
その記事(5 Surprising Social Media Business Success Stories)を、Toshismが翻訳・意訳してお届けします。
Facebookを活用して顧客と関係を築いた馬の歯医者
Facebookによって、フロリダ州で馬の歯医者(Equine Dentist)を営んでいるGeoff Tuckerは“田舎のイチ事業者”から“業界におけるトレンドセッター”に転身を遂げた。
「付き合いや人脈が重要なビジネスでは、Facebookはとても役に立つ。Facebookは人と知り合うには最高のツールだよ。ビジネスマンである前に、普通の人間である私を知ってくれるからね。人間は他人ではなく友達に仕事を依頼するんだよ。」と、彼は言う。
ソーシャルメディアを通じて人脈を広げたことで、会社の知名度も広がった。ブログ、twitter、そしてFacebookによって、Horse Talk RadioやHorseGirl.tv.に出演することにもなった。
最終的には昨年、Facebook単体で100個見込み顧客と、10〜15の顧客を獲得した。
新しいターゲットの開拓に成功した鉄骨建築業者
プレハブ鉄骨建築の業者であるSteelMasterはソーシャルメディアを活用することに対して当初、消極的な態度をとっていた。
「鉄骨建築だからね。」とバージニア州ノーフォーク担当のマーケティングディレクターであるMichelle Wickumは言う。「鉄骨建築とFacebookの間の距離は結構ある。Facebookを活用する余地はあまりなさそうだった。でも、ソーシャルメディア、とりわけFacebookの成長をみて、何かする必要はありそうだと感じたんだ。」
約1年前、SteelMasterはソーシャルメディアの世界に足を踏み入れた。その結果、彼らのビジネスにとって二つの価値が見いだされた。一つ目は、Facebookの“写真投稿場所”としての価値だった。顧客に納品した建築物の写真を投稿することで、既存顧客の関心を引くだけでなく、見込み顧客にSteelMasterの建築物(特にその活用範囲)を例示することができた。「写真とは、顧客を引きつける仕掛けさ。」とMichelleは説明する。
そしてもっと重要なのが、今まで自社に興味をもっていなかった顧客層の需要を喚起できたことだ。例えば養鶏農家や木工業者。彼らは今まで鉄骨建築を使うことなんて考えてもいなかったけれど、彼らの友達や同業者がtwitterやFacebookで当社の建築物を写真で共有し始めた結果、
当社に興味を頂くようになったんだ。
Facebook: Steel Master Buildings
塗料を売るためにソーシャルメディア活用
Idea Paintは、塗るだけでホワイトボードを作れる塗料を売るボストンのスタートアップだ。この会社はソーシャルメディアをセールス&マーケティングプロセス全体に適用している。
ビデオや画像、製品を使う方法など、従業員が数々のコンテンツ掲載している会社ブログは、Idea Paintにとってのソーシャルメディア活動のハブだ。Idea PaintはtwitterやFacebookを使って、ブログのコンテンツをウェブ上に拡散させる。そして、コンテンツがもたらす反応に聞き耳を立て、対応をし、コミュニティと対話する。
Idea Paintのマーケティング責任者であるMarcus Wilsonは言う。「この仕組みによって、当社は顧客との親しい関係を築きながら、グローバルを対象としたマーケティングをすることができる。10年前にはそんなこと実現できなかった。」
これがどのようにビジネスインパクトに直結するのか。ソーシャルメディアはIdea Paintが見込み顧客を獲得するための最大の要因のひとつとなっている。しかも、その勢いは止まらない。2010年の第1四半期におけるtwitterとFacebookの成果は前期比70%のスピードで伸びており、第2四半期ではその10倍の伸びを見せると予想している。
twitterを活用して「紙」を売る
一年前、 高品質紙の製造業者であるNeenah Paperのマーケティングチームは、成長に行き詰まっていた。日に日に新しい潜在顧客にリーチすることが難しくなっていたのだ。今まで使っていたチャネル、テレアポや対面営業、は今まで通りには成果を生み出していなかった。
Neenahのマーケティング&コミュニケーションマネージャーであるJamie Saundersは、「当社の潜在顧客の大半、 デザイナー、グラフィックアーティストたちは一日中パソコンの前に座っている。ソーシャルメディアが彼らの興味を引くには有効だった。」と話をしている。
Neenahはソーシャルメディアの世界に飛び込むことにした。マーケティングチームがソーシャルメディアを活用し始めたところ、営業チームに成果をもたらすことが分かってきた。彼らは、顧客開拓とナーチャリング(顧客の育成)をtwitterを通じて実践できることを発見した。今日、Neenahは、社公式のtwitterアカウントを活用して顧客開拓を行っている営業拠点を、アメリカ国内に10ヶ所用意している。
「ソーシャルメディアは見込み顧客に興味を持ってもらう最も有効な方法であると営業拠点が感じている。」とJamieは言う。「ソーシャルメディアは対話を始めるための招待状のようなもの。それを使うことで、実際に会わなければ起り得なかった対話を起こすことが出来る。」
オンライン上の航空機メンテナンスに関する議論をリードする
ビッグ3の首脳が自家用機でワシントンDCの議会に乗りつけた。目的は、公的資金による救済を米議会の公聴会で訴えるため。この事件によって激しい抗議が巻き起こり、自家用ジェット業界のイメージに大きな傷がついた。
ちょうどその時期に、航空機のメンテナンスとサポートを行うDuncan Aviationはソーシャルメディアを活用し始めていた。そして、新しいメディアはそこで行われている議論をポジティブな方向へと動かし、業界の傷ついたイメージを回復させる手段になりうると気がついた。
現在DuncanのソーシャルメディアのトップであるBeth Humbleは、こう説明する。「ソーシャルメディアがDuncanのマーケティング戦略にとって重要である間は、ComcastやCokeのようなマーケティングは目指さないよ。」「ゴールはシンプルさ。適切な人に影響を与えることだ。」
「twitterを通じて、我々は多くの業界人とつながっている。ジャーナリスト、航空業界のブロガー、そして業界に関わるマスコミ。」とBethは説明する。「適切な数少ない人々とつながることが出来れば、結果的に数千人とつながることが出来る。」
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(5 Surprising Social Media Business Success Stories)
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