12月某日、横浜中華街のとあるお店で appbank 主催の忘年会イベント「ぶっちゃけ iPhoneゲームどうよ」の模様をお届けします。
家庭用ゲーム機で活躍するメーカーの iPhone ゲーム担当者とゲーム会社から独立して iPhoneで戦っている会社様に参加してもらってこのゲーム市場についてどう思うか、腹を割って話してもらいました。
また、参加された中には名前を明かすことができない方が複数いましたので、そちらの方の名前は全てXとして混乱するように表記していることをご理解ください
最後に、このイベント好評につき来年も開催したいと思いますのでぜひご感想ご意見を下記スレッドまで頂ければと思います。よろしくお願いします。
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年末イベント「ぶっちゃけ iPhone ゲームどうよ。」のスレッド:iPhoneBBS
イベント開会の挨拶。
appbank
今回は忘年会イベント「ぶっちゃけ iPhone ゲームどうよ」にご参加いただきありがとうございます。App Storeという場所は厳しい一方で非常にエキサイティングですので、一緒に盛り上げていければと思っています。よろしくお願いします。
参加者の紹介。
Yudo 世永玲生氏 (以下yudo)
RxRproject、メディアートのプロジェクト Matrix Music Pad 等を手がけるRxRproject活動を進めたりしている。元々はコンシューマー出身です。すぐ結果の出る iPhone は厳しい一方で、すぐに結果が出ることで勢い良く作れるのが魅力だと思っています。
近日リリース予定新作アプリの紹介動画。
ゼペット 宮川義之氏(以下ゼペット)
去年の冬にiPhone専業の会社として創業した。iYamato等をリリース。これまでのゲーム制作の考え、手法を一旦をリセットして新しい iPhone開発に専念しています。
スクウェアエニックス 安藤氏(以下スクエニ)
iPod のゲーム、ソングサマナーを作った。手がけたゲームはクリスタルディフェンダーズ、国破れて山河あり、iPhone版ソングサマナー。みなさんと、良い市場にしていければと思っています。
春頃に向けて完全オリジナルの大作RPGを開発中(注、かなり期待できますよ!!)です。
AppBank 宮下(以下 appbank)
今回の司会を努めます。よろしくお願いします。
昨年の10月6日に appbank を始めました。もともとiPhone関連で儲けたいという動機がありました。しかしアプリを売る方法が全くなかったので AppBankというサイトを作った。AppStore の熱や、周辺のイベントがおもしろすぎるのでそれに振り回されることもあるが、軸がぶれないようにしていこうと思っています.
その他、名前を明かすことができない参加者数名の自己紹介(全てXで統一表記)。後半からバンダイナムコ山田氏が参加します。
テーマ決めをしよう。海外でどうしたら売れるのか?!
以下、名前を明かせない方の発言は全てX(エックス)として書きます。混乱を招くことになりますがご了承ください。
appbank
海外で受けるものとは何か?というを最後に聞きたいのですが、その前に各社の思う iPhone ゲーム観、コンソールゲームとの違いなどを聞きたい。その中で、こういうゲームが海外でも受けがいいといった事が聞きたい。漠然としていてごめんなさい。
X
なぜ海外?
appbank
日本の市場規模は全世界の5%しかない。AppStoreに参入している大会社がまともに利益を得ようとしたら 大辞林 を作り続けるしかないのではないか?と思っているからです。Matrix MusicPadもたくさん売れたのだが、、、
yudo
Matrix Musicは1週間半くらいで一気に開発した。人気を得たおかげでめ利益はでています。
マーケティングの話をすると、8bitoneはマーケティングをちゃんとやって人気を復活させたアプリ。具体的なマーケティングの話は商売の種なので避けたいが、一つ挙げるとすればappbankとつけ麺を食べに行くべき。つけ麺を食べに行ったら、総合ランクが随分と上がる。自分が本当にお気に入りの限定ラーメン、誰にも教えたくなかったお店だったのだが appbank に再度紹介してもらうために誘った。
appbank
すごいおいしかった。
yudo
食べに行って「アプリの紹介もよろしく」と伝えるだけで総合ランクがグンと上がる。カテゴリで言うなら圏外から10位以内まで入ってくる勢い。10位以下に入ってくると出る窓が開ける。そこから機会が広がってくる
I am T-pain が売れた理由をちゃんと調べないで「海外で売れるには?」と連呼するのはナンセンス。しょっぱなから話の腰を折ってしまうが、本気で海外で売りたいなら現地に拠点を置いて、ネイティブのマーケティング担当者と一緒に販売をしていかないと意味が無い。自分がこれまでやってきた手法は海外でもそこそこは通用すると思うが、日本ほどの効力は無いだろうと思っています。
iPhoneゲームの大安売りという流れのある中、どうやって利益を出して行こう?と考えていくとまずはドメスティックで利益を出そうという結論になった。分かりやすい流れで言うとAppStore開始時のスーパーモンキーボール、既に資産のあるものをうまく移植するというのが一つの方法でしょう。
そしてゲームからツールへと市場が移行し始めていた、2009年には完全にツールとエンターテインメントが幅を利かせるようになった。
良いものは売れてるが5000円で売れてるわけではない。ではその中でうまくやって行く方法を考えないといけないと思います。
私がPCでMatrix Music Pad を作るとしたら今の10倍の機能のある物を提供する。しかし、iPhoneで提供するとしたらユーザーの目に見えるものを少なくしなければいけない。コンシューマーをやってきた方なら分かると思うが、クォリティを追求するのに時間をかけるなんてことはあり得ない。クォリティの追求のためには、何をとがらすかということなんですよ。
モンハンも良い例、FF11やPSOがある中で、いきなりボス戦ができるというのが良かった。始まった瞬間に街があって広大なフィールドからゲームが始まるのではここまで支持されなかっただろう。
まずはドメスティックで勝つアプリを作り、その資産をもってどうやって海外で商売をするかを考える時代じゃないかなと思っている。なぜ日本人である僕たちが、5%の市場であるにせよ、ここをちゃんと攻めないのはおかしい。だから「なんで海外?」って思っている。
もちろん海外でたまたま売れるアプリもあるでしょう。PlanningNyaroさんを見てると意識して海外を狙ってやっているわけではなく良い物を作って行く中で海外でも売れたという印象。
手刷りで作ったT-シャツを各メディアに渡してお願いしたりもしている。結局はそういうことの積み重ねだろう。
appbank
分かりました。そういった流れでいくとコスト的にはどうか?という話も出てきませんか。
Yudo
なぜコスト?
appbank
ドメスティックを戦うとして、会社によってはどうしても、国内だけでは利益の出ないソフトを作ってしまうこともあるだろうから。
Yudo
例えば、この案がおもしろいかは別として、モンハンの豚を育てるゲームがありますよね。それだけを切り取ってモンハンのネーミングで出して売るなら利益は出るだろう。そういう物を積み重ねて資産を作りつつ、完全な移植版を作るという手法もあるだろう。それならば利益はでる。
2007年に多くのゲームを出していた会社で、売り上げも良かったゲーム会社が交流会や講演会で「いやぁ、利益でないっすよ」というのを聞いていたが、あそこまで本気で投資して毎度作っていたんじゃ利益も出ないよと思います。
だからといってクォリティを下げることはできない。そうであればまず利用者に遊んでもらう部分を小さく切って、その窓を見てもらうというやり方はあると思う。
ゼペット
Yudoを見ていて、強い人はなんかやってるというのを感じている。海外の集まりでも人気のアプリを作っている開発者は何か仕掛けていると感じて、彼らの手法を見つつ自分も試してきている。
毎回、総合の5位に入るのはけっこうしんどいなぁと思っている。
Yudo
いや、自分は何回でも一位とれると思ってる。次も総合1位をとれる。
ゼペット
それはすごい。自分はそこにリスクを感じている。
「海外で売りたいな」という話の根底にはみんな「楽しく生存したい」ということがあるのではないか?みんな生存していきたい。その生存の仕方にもいろいろある中でこの iPhone を選んだからには「楽しくやりたい」という物があるのではないか。「海外」という言葉を使う時にはそこのリスクヘッジというものもあるのだろう。
ドメスティックに足場を固めて行くという中で、足をつかっていろいろやって行くというのも分かるが、、、、
Yudo
iPhoneアプリを売って行く中で、appbank や iphone music app さんといったサイトの助けが大きい。短縮URLのアナライズやサイトオーナーの報告でどのくらい売れているのかというのは分かる。そのコミュニケーションを海外で作れるのかが不明という点もある。
自分がコンソールをやっていた時にファミ通や電撃にすごい助けられてきている。自分がそういった人たちとの関係を作るのに、メールだけ、英語話せるだけでできるのかを考えて行くと、ありえないですから。
マーケティングの話をすると「appbank は草履をはいている」がある。
appbank さんは実際そんなに外にいるのかいないのかわからないのに、みんなが appbank は東京中を移動している、精力的に活動していると思っている。それはなぜかというと草履をはいているからなんですよ。appbank が来た時にはみんなが社内で「あの草履の人はだれ?」言う。かならず彼らが来たことが社内中に伝わる。appbank は一度来るたびに社内中にシールを貼っている。
じゃあそれが海外でできるのか。うまくできるかというと難しい。「おぼろむらまさ」という会社が海外の販社がうまくいかないといっていた時に、全米をコスプレして回ったという話を聞いている。あれが Youtube に流されて話題になった。ああいうことならできるかもしれない。
もっと言うなら渋谷の駅前に立って「iPhone持っている人いますか?!今すぐこのアプリ入れてください!じゃないと僕帰れないんです」といえばそれなりに売れるかもしれない。でもこういった行動が海外でできるのか。 I am T-pain は Hip Hop の雑誌 source に広告を出している。 source に広告を出すのは本当に難しい。値段はそんなでもないが、つながりを重視しているメディアだからこういうやり方は困難。
僕らが良く言われることに、音楽は世界共通語なんだから海外でも売れるでしょうって、、、それは難しいですよ。
今 yudo のソフトはフランスとドイツで売り上げが上がっている、理由はフランス人のスタッフがアツいメールを送っているからだと思う。
その2に続きます。
スクウェアエニックスのiPhoneゲーム観とブランド構築。【その2】
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年末イベント「ぶっちゃけ iPhone ゲームどうよ。」のスレッド:iPhoneBBS
このイベントで発言された iPhone ゲーム一覧。
ゼペット
iYamato : 敵弾雨あられ、戦艦大和の勇姿に誰もが熱くなれる哀しみのシューティング。765
yudo
Matrix Music Pad : 指でなぞるだけで、多彩な音楽を紡ぎだせる iPhone楽器アプリ。1442
ファミコン的音源作成アプリ8bitone の基本的な使い方の説明動画。【本邦初、イースター公開】1312
スクウェアエニックス
ソングサマナー 完全版: スクエニが本気で作った、iPhoneでしか遊べないRPG。1884
国破れて山河あり: iPhone最高のRTS!無料版もありスクエニファンは絶対遊ぶべきアプリ!1824
Crystal Defenders: スクエニのクリスタルディフェンダーズver 2.0は、攻略したいと思わせるほど楽しくなった。317
バンダイナムコ
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