Game Develpers Conference、締めにふさわしい情報を最後に。
AppStoreの開店とともに30万本の売り上げをたたき出したセガの
Super Monkey Ball、GDCの初日にセガと開発会社によるセッションがありました。
Gamasutra – News – GDC: Sega, Other Ocean Discuss Super Monkey Ball iPhone Lessons
この内容がとても充実していたのでほぼ訳してご紹介します。
Super Monkey Ballから学んだこと。
Other Ocean社の開発者Chris Sharpley氏とSega社のEthan Einhorn氏のSuper Monkey Ballの成功に関する対談
プロジェクトはOther Ocean社からSuper Monkey BallをiPhone用ゲームとして開発したいという申し出から始まった。話はうまくすすみ、Segaは直ちにデモ版を作って見せてくれとお願いした。
「3日で、実際にうごくエンジンを用意した。たった二人のスタッフで、Super Monkey Ballの全ての開発を行ったんだ。」とEinhorn氏。
4段階コーディング作業、2週間かけて仕上がった。より自然な、型にはまらないグラフィックのゲームが出来上がっていった。
「Wii バージョンのSuper Monkey Ballのビジュアルを作り替えるよう試みたんだ。」とEinhorn氏。
12週間の開発期間が過ぎ、アップルに提出するアルファ版が出来上がった。「出来上がった時、セガ内ではずっと興奮状態だったよ。」
「Other Ocean社として言うと、その1分間がすぎるまでは、iPhoneがゲームプラットフォームだなんて誰も話しちゃいなかった。それがいきなり話のど真ん中の人間になってしまったんだ。逃すことの出来ない非常に大きなチャンスだった。」
ステージ設計
Other Oceanは200ものステージ設計資料を作成した。3Dの形状でレンダリングされたシンプルの1枚のデザインシートだ。
ハイ水準のゲームデザイン資料を用意したおかげで効率よくプロジェクトは進んだ。経営陣にゲームの説明をするだけでなく、日本のSuper Monkey Ball開発者達との言語の壁を越える助けともなった。
最終的には110ステージのゲームとなった。「一心不乱になって作りすぎた。」ただ、この数百のゲームデザインが基となって、特段資料を作らずとも、ゲーム内コンセプトを伝えること、そのデザイン同士の組み合わせで、よりよいステージを作っていくことに大きく貢献した。
ゲーム開発
「Wii バージョンの資産を再利用したと思うかもしれないが、当初は私達もそうしようとは思ったのだけども、実際はWiiの資産を使うことはなかったんだ。」
DSやWiiバージョンの音源を使うなどはしたが、いくらか利用した程度だった。
Monkey Ballスタイルが全てに盛り込まれたステージ用に5つのオリジナルテクスチュアが出来上がった。
Sharpley氏は開発バージョンの観覧席や、ステージのワイヤーフレームを見せてくれ、コンソール版のMonkey Ballとの違いを説明した。Other Ocean社はいくつかの不具合への対応と、フレームレート維持のために、相当量のグラフィック作業をやり直ししたことになる。
リリース時のゲームは元々チュートリアルの部分を設けることを予定していたが、リリース後に加わった。「時間を使い果たしたんだ」とEinhorn氏は認める。しかし、AppStoreのシステムのおかげで楽にヘルプを追加することができた。
iPhoneゲーム、セガが学んだこと10個
1.フィードバックに耳を傾ける。「利用者のフィードバックは大きい」とSharpley氏。
2.価格競争を行わない「我々は早いうちから、値下げの誘惑を断ることにした。」それまでは一度も値下げは行わなかったのだが、ホリディシーズンの間だけ値下げという手段をとった。これにより、$1値下げに求めていた効果以上の結果を得ることになった。
3.無料版の良い点、悪い点を見極めること。これまでにないような内容やゲームを売り出すのなら、AppStoreだけでは簡単に理解してもらえない、だから無料版を作る価値はある。しかし、そのゲームの事をすぐに理解してもらえるのなら、無料版と有料版で共食いが始まるだろう。
4.多くの人がそのゲームのことを知るのが初めてだろう、Monkey Ballはコンソールゲームのシリーズ版として人気を確立していているが、そのことは新しいプラットフォーム上では少ししか助けにならない。ブランドがあることで売れたところもある、それでもアプローチしなくてはいけない新しい層は大量にいる。
5.ユーザーレビューはiPhoneにおいては王様だ。ランキングや星の総合評価はそれほど意味のあるものではない。ユーザーレビューが基盤となる。利用者達はゲーム販売会社がレビューや不平に配慮しているかちゃんと見ている。
6.一生懸命やりすぎるな。現在出ている多くのタイトル、カジュアルゲームを作っていたとしても、まだやり過ぎているところがある。終わりに到達できることが間違いのないやり方だ。
7.デバイスに適した作品を作る。「アップルがこのゲームに興味津々だったのは、我々が加速度センサーなど、iPhoneをうまく使ったゲームを開発していたからだ。」
8.「見込み客を10秒でひきつけろ。コンソールゲームだったら5分も10分も説明するチャンスがあるが、iPhoneは手に取った瞬間に利用者をひきつけなくてはいけない。彼らはいつでも無料のゲームにいってしまうぞ」
9.iPhone用はシンプルに。Wii バージョンのMonkey Ballはそれまでのバージョンよりも複雑なものだったが、iPhoneにおいては、まったく別のアプローチをとった。
10.どこでどう遊ぶか考慮すること「私たちは発売時期に致命的な誤りを犯した。10ステージクリアするまではセーブできないようにしていたんだ。」iPhoneでプレイするには非常にまずい仕様だった。直ちに改善された。
iPhoneゲーム開発において、Other Oceanが学んだこと10個
1.できるなら自分達のスタジオで開発しよう。「ステージ開発をするときは朝9時に初めて、10時か10時半に終了させる。その後、フルタイムのテスト担当の人に渡して、ランチ前にフィードバックをもらえるような体制にしたんだ。3ヶ月で全てを作りきるには、お抱え開発というスタイルではできない。」
2.新しいデバイスの限界をさらに伸ばす。カジュアルマーケットを狙っているなら特に。ただ、カジュアルゲーム以外の層には合わないものを作るということではない。と開発者。
3.ハードコアなゲームをカジュアルにするというトライを甘く見ないこと。逆説的だが、カジュアルプレイヤー向けのゲームを作るときには新たな要素を盛り込むときもある。多くの開発者がこういったことを意識していない。
4.パブリッシャーと開発者とのコミュニケーションは十分にとること。Other Ocean、Sega of Ameria, Sega of Japanはそれぞれ異なるタイムゾーンにいる。緊密なコミュニケーションはレールから踏み出さないために必要なものだ。
5.シンプルにスタートし、改善点を加えていこう。ステージ設計時のOther Oceanの作った数百ものステージデザインはステージ構成を組み立てたことが結果として元以上のものをもらえた。
6.攻めの納期は開発の集中力を高める。「ある意味、タイトな納期のおかげで、こういうゲームを購入する人が求める物は何かということに集中できた。大事な機能や特徴にだけフォーカスすることができた。」
7.新しいチャンスはリスクを伴う「一年前にはAppStoreなんてものが無かった。そんな中、Other Oceanがそのリスクをとっていくことなんてのは危なっかしいことだったんだ。けど、そうすることで新たなチャンスを得ることができたんだ。」
8.小さなチームは機動力がある。実際、Other Oceanは開発チームを大きくすることだってできた。けれども機動力のある小さな体制で進めることを選んだ。あとづけだけども、もしこのプロジェクトに人を追加していたら、生産性を遅くすることになっていただろう。
9.ライセンスを利用することに寛容に。ライセンスを使用してタイトルを出すことを侮蔑している開発者もいることだろう。けど、そのライセンスのリスクが低いほど、会社に名を与えてくれるし、時が経った時に、オリジナルタイトルの開発をさせてくれると思わせてくれる。
10.ブランドを理解してくれるチームと組もう。Other OceanのスタッフはすでにアップルとSuper Monkey Ballのファンだったんだ。これはプラットフォームやタイトルの理解や仕事の進捗に大きな違いをもたらしてくれた。「チームみんながおなじ所を見ながら仕事をしている感覚だ。」
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