ユーザーの感情渦巻くPhotoShare。
僕がやってることは全然ソフトウェアじゃない!
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■AppBank
本日はお忙しいなかありがとうございます。
今回は「中島聡(PhotoShare)×iPhone・iPod touch ラボ×AppBank 三者対談」を出来ればと思いお時間をいただきました。よろしくお願いします。
では、早速なのですがPhotoShareを作ったきっかけを改めて聞かせていただきたく。
■中島聡
質問として結構難しい質問ですね。
その質問は会社の人間として話すケースと個人として話すケースで答えが違ったりします。
公式に言っているのは「人と人とのコミュニケーションの密度を上げたい」ということですね。
たんにテキストでやるってことを、絵や画像でやるってことがユーザーにとって価値があることだと考えています。
このサービスがどうやって始まったか、そのきっかけは意外と雑な話なのですが、2000年に前の会社を始めて、2004年に売却、その後別の会社でしばらく勤めました。
前の会社はミドルウェアを他社にライセンスする会社だったのですが、直接ユーザー向けのサービスを作っていたわけではないんです。
ビジネスとしてはいいんですけど、最終商品のデザインとか、リリース後のユーザーとのやり取りとかができなくって、そこをやりたいってのがありました。
わりとこれまで裏方で、Windowsの時代もそうですが、過去にコンシューマープロダクツっていうのはあまりやったことがなかったんです。
コンシューマー向けの本当の意味のサービスをやったことがなくって、それをやりたかったっていうのがきっかけです。
■AppBank
実際にやってみてどうでしたか?
■中島聡
いろいろありますよね。
感情の密度を高める、コミュニケーションの密度を高めるって言ってやってるんですけど、実はPhotoShareってものすごく感情が渦巻くサービスになっているんです。
なんかユーザーみんなが感情的にこのソフトを見ているんですね。
単なるソフトなのに、ものすごく好きだったり、ものすごく嫌いだったり。
運営していると「PhotoShareを止める!」って人が必ず週には1人いて、その人はものすごく怒っていて、真っ赤になって「嫌いだ!」って。「私もうやめる!」って宣言してPhotoShareを止めるんです。「止めます宣言写真」をアップして、それはもうすごい感情をあらわにして。で、周りのみんなが「止めないでー!」って大騒ぎして、それでも本人は過去の何百枚っていう写真を全部消して去ってしまって・・・
でも、3日後にしれっと帰ってきて「ただいまー」「おかえりー」みたいな。
普通に戻っちゃったりとかすごく多いです。
■AppBank
しれっと戻ってくるんですね。
■中島聡
言葉にして話すとふーんって感じなのですが、実際に見ているとそれはもうすさまじくて、そういうすさまじい感情の渦巻きの場所を提供している管理人として過ごしているのですが、たまに誰かと誰かがケンカすると仲裁に入ってくれとか、誰々を追い出してくれとか、相談が来たり・・・
全然ソフトじゃないじゃん、って。
■AppBank
中島さんは、PhotoShareに対して管理人としてかなりコミットしてますよね。
あれはああなるってもともと想定されていたんですか?
■中島聡
だって誰もいないじゃないですか。会社も3人しかいないし。
僕がずっとオンラインだから、なんとなく知られちゃってて、ユーザーであると同時に作った人でもあるから問題解決を依頼されることとかすごく多いんですよ。
本来、バグがあったらそれを解決する役割が僕だと思うんですけど、相談所になっちゃってるんですよね。
「あの人が嫌なコメント送ってくるからなんとかして」とか。
あ、最近ユーザーに子供が増えてきているんですよ。
アメリカの12~13歳の子供とかが急に増えてきているのですが、それに大人が話しかけて、それもまたいろいろあって。
1件最近あったのが、12歳ぐらいの女の子が自分の写真をアップしたら、どこかの大人が「裸の写真あげろ!」って言って、それを見た周囲の大人が「お前、それはだめだろ」とか「PhotoShareは子供達にとって適切なサービスじゃないんじゃないだろうか」みたいな議論が始まって、で、僕のところに相談がきて、「14歳以下はサービスの利用を禁止にした方がいいんじゃないか」とか。
でも、そしたらそれを見ていた子供達の方が逆に怒って、集まって「発言の自由があるから、何歳がやってもいいんだ」みたいな議論を熱く始めちゃったりして。
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⇒ 集中して開発できる日は月に4日とか5日しかない:BigCanvas中島聡対談 その2
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