iPhoneアプリマーケティング事例紹介 : iPhoneアプリで無料版と有料版を分けて販売する成功例と失敗例の紹介

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最近、iPhoneアプリを販売する際に無料版と有料版を分けてリリースする戦略を取る会社が非常に多いように思います。

写真素材 PIXTA
(c) nobmin写真素材 PIXTA

この無料版と有料版を分けてリリースする戦略は、LightBikeのパンカクさんもインタビューで成功の秘訣のひとつに挙げています。

この戦略、AppStoreにおける元祖はiShootでしょう(たぶん)。
それは「iShootのミラクル」としてiPhoneアプリ界におけるサクセスストーリーにもなっています。

さて、このエントリーでは
「無料版と有料版でどんな違いを持たせてアプリを開発しているのか?」
をテーマに2つのアプリの事例を紹介しようと思います。


目次

事例その1:LightBike

LightBike

こちらが
無料版の起動画面です。


遊べるメニューは1つ。
「One Player(一人用)」モードのみです。

起動画面で「buy full version(有料版を買う)」というAppStoreへのリンクを入れるのは定番です。
デモムービーへのリンクもありますね。

LightBike

一人用モードで
遊んでみます。

普通に遊べます。
何不自由なく。


無料版なので一部機能を制限するわけなのですが、無料版でも十分に遊べる。そういうものが非常に多いですね。
さっきAppBank氏がレビューしたばかりの「塊魂 for iPhone」も無料版でも十分に遊べます。

無料版、されど無料版。
「もっと遊びたい」と思わせるレベルまで遊ばせてくれるんですね。

機能制限に関しても、機能自体を制限するというよりか、ステージを制限するとかいくつかのモードを制限するっていうのが多いです。

LightBike

さて、これが
有料版の起動画面。

無料版と比較して、
メニューが多いです。

一人用モード以外でも、二人用モード、wifiモードもあります。


LightBike

一人用モードを選択します。


さて、先ほどの無料版では出なかった要素がひとつ。
有料版では「敵の強さ」を選択できるようになっています。
無料版では選べません。

こういうバランスもいい塩梅ですよね。

LightBike

せっかくなので、
普通に遊んで・・・


LightBike

勝ちました!!!


LightBike

コングラッジュレーション!!!

もうLightBikeじゃほとんど敵に負けないよ!
やりこみすぎだよ!


LightBikeのレビューはこちら
無料アプリLightBike:走った軌跡に光の壁を作るバイクを操って敵を倒す3Dゲーム。米App Storeで1位を取った大人気アプリ!143

事例その2:VoiceKeyboard

あまり有名ではないですが、私が大好きなボイスアプリです。
(ただし有料版に限る。)

このアプリは自分の声を録音して、高い声とか低い声に変えれるアプリです。
このアプリを使うとサウスパーク風の声も簡単に作れます。
俗に言うパーティーグッズでドナルドダックボイスになれるアレです。

先ほどは無料版から紹介しましたが、このアプリは有料版の方から紹介します。

VoiceKeyboard

これが有料版の
起動画面。

シンプルにタイトル!


VoiceKeyboard

これが
サービス画面。


左上の「RECORD」をタップすると自分の声を録音できます。
で、ピアノの鍵盤を押すと自分の声が様々な高さ・スピードで出ます。

超面白いですよ。
親戚の子供に触らせたらiPhoneを離してくれなくなりました。

VoiceKeyboard

さて、これが
無料版の起動画面。


有料版へのリンクを貼らないとか、おろかですね。

なんのための無料版なのかと、問い詰めたいです。
だからいいアプリなのに売れないんだよ・・・

VoiceKeyboard

これが
サービス画面。


このアプリの無料版の特徴は広告が入っていることです。
左上に出ているのが広告です。
(先ほど「RECORD」ボタンがあった場所に広告が入っています。)

これは恐らくアドモブの広告を入れています。

VoiceKeyboard

ちなみに、広告をクリックするとこんな感じ。
safariが起動して広告ページに飛びます。

アドモブがiPhone向けの広告配信をかなり積極的にやっているので、一つ前のアプリ画面を見ているとかなり多くの種類の広告がくるくる回ります。
(これはこれでどれぐらいのビジネスになるのかな?それも興味あるのですがデータがないです。すいません。)


で、このVoiceKeyboard。
せっかく無料版をリリースしているのに致命的な欠陥がいくつもあります。

VoiceKeyboard(有料版)を愛するが故に酷評させていただくと、

  • 無料版は自分の声を一切録音できないので、面白さがわからない。有料版は録音した声を複数保存しておくことができるけど、無料版では保存機能をはずすとか、5秒だけ声を録音できるとか、そういった機能制限にしてほしかった。機能を制限しすぎなダメな例で、VoiceKeyboardというアプリのよさをまったく体験できない。
  • 無料版は10メガ以上あり、iPhoneでAppStoreを開いたときにダウンロードできない。PCでつなぐ必要がある(有料版は軽い。気軽にiPhoneのAppStore経由でダウンロードできる)。なぜ無料版が重いかと言うと、自分の声が録音できない代わりにサンプル音源をたくさん入れているから?だと思う。それ以外に重くなる要素が見つからないから。「ハロー」とか「ブラブラブラ」とかっていうサンプル音源を入れられても何も面白くない!ふざけるな!
  • そもそも論、有料版へのリンクがどこにもない。有料版がほしいときにはAppStoreにアクセスして、アプリタイトルで検索してたどり着けってか?面倒くさいんじゃ!

もうね、腹立たしいです。

こういう無料版は有料版の評判すら落としかねないと思うので作らない方がマシという事例でした。

VoiceKeyboard(有料版)のレビューはこちら
VoiceKeyboard:自分の声をサウスパーク風?いやプライバシー保護声に変えてくれるおもしろキーボード 009
(ちょっと昔のレビューなので画像が古いよ。)

以上で、無料版有料版の2アプリリリースマーケティング戦略の事例紹介は終わりです。

実はVoiceKeyboardに無料版が出たのを知って、これで無料版を紹介すれば、このアプリももう少しは日の目が当たるのではないか、と思いうれしくてAppBankでのレビューようにダウンロードしたのに、あまりのひどさに腹が立ったので唐突にまとめて書いたエントリーでした。

無料と有料、という戦略は非常にいい戦略だと思います。

AppStoreの無料アプリランキングを見ると「ライト版(無料版)」ばかりが上位に並んでいるのはちょっと気持ち悪い光景なので、その辺はアップルさんもうちょっと改善しようがあるでしょう、とか思うのですが、そういう気持ちを差し引いても、iPhoneアプリを開発・リリースする会社は取るべき戦略の一つだと思います。

冒頭でも紹介した「iShootのミラクル」。

↓のリンク先のエントリーではiShootの作者インタビューをまとめてあります。
非常に参考になりますので、ぜひあわせてご確認ください。
iShoot作者、自作iPhoneアプリ大ヒット(一晩で300万円以上)につき、サン・マイクロシステムズを直ちに辞職する。

appbank管理人の追記

私もこれまとめようと思っていたのにentrypostman氏に先やられちゃいましたね。補足情報として

先日のABtoMの無料の機能性が高すぎて大人気となり有料と差別化が難しくなった例など有料、無料のバランスや無料をやってみて有料が欲しくなるような設計(namcoの塊魂やentrypostman氏が好きなBaseball Superstarsは好例)が重要になってくるかと思いますし。

Tap Tap Revengeの場合はプラットフォームとしての無料版、アーティストと組むことで説得力のある有料版を販売する戦略はBig CanvasのPhotoShareとPhotocanvasの関係にも少し似ています。有料無料の例についてはこれからシリーズ化して分析していきたいですね。

最後に大分昔のこの記事から抜粋。 from 誰を相手に商売するか:AppStoreでのiPhoneアプリのプライシング(値付け)について。

無料お試し版を提供しよう。

誰かに$2以上するiPhoneアプリをただ闇雲に買ってくださいとお願いすることはタフな話だ。糞アプリと呼ばれないような無料版を用意しよう、有料版にあるような素晴らしい特徴や有料版を際だたせるような内容を盛り込んでおいてね、それで無料版を使う人にはこのアプリには有料版がある(そして、ぜひ購入してください)ということを知らせよう。

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