荻原剛志教授の講演を見に行くために翔泳社さんの開催したデブサミに参加してきました。
その次のセッションで、iPhoneアプリを実際に開発されている猛者たちの貴重な話を伺うことができました。下記にログを残します。正確さは??なので突っ込みいただけるとうれしいです。
進行役の高橋征義氏の進め方が鮮やかで舌を巻きました。この内容をあの時間で言わせるのは見事。
翔泳社さんのイベントに参加するのは初めてなのですが、重役の方々も1スタッフとして運営に全力参加し、走り回ってピンマイクになにやらつぶやいていました。
そこに他のメディア会社とは異なるまじめっぷりを感じ取ることができ、「翔泳社誠実だぜ翔泳社!」と思ったことはここだけの話です。
座談会出席者
wikiamoの中川智史氏(ご指摘、ありがとうございます。)
PokeDiaの瀧内元気氏
Evernoteのshachi氏
NatsulionforiPhoneの森琢磨氏
2tch Free, Hire Here, dharmaの吉田悠一氏
Developers Summit 2009 このイベントについて詳しい情報はここ
以下、開発者名をアプリ名で代えさせていただきます。
iPhoneアプリ開発で困ったこと
Pokedia
2人で3ヶ月かかった。好きな場所に文字を書けるようにしたかったのがコンセプト。
開発にかかった時間配分については、AppStore対応が半分くらい、名前の文字化け問題の対応で1ヶ月。実際の開発は1ヶ月少しでできあがっていた。
新機能を追加した際に、17カ国対応する必要があったので手間がかかった。文字をただ訳せばよいわけではなく、訳した文字が見た目的に良いかという点も気を付けたポイント
iMarimoは一人で3日で作った、癒しアプリ。
Wikiamo
1ヶ月でできた。1度Rejectされて2週間遅れたくらい
OSのアップグレード対応、UIのイベント仕様が変わっていたりしていて、キャッチアップに手間がかかる。挙動すら変わる。一部動かないなど。
すぐに直してSubmitしなおす→1週間くらいかかって公開される。反映が遅いので2時間程度で変更が反映されるiTunesのDescriptionに対応中など伝える。
Evernote
iPhone 3G launchのときにリリースした。そのためアップルの人と直接やりとりしながら開発できたため、リジェクトということはなかった。何をしたらやばいかなど教えてもらえた。
そのときのつながりでその他アプリもスムーズにリリースできているのであまり大変なことは無かった。
iPhoneのアプリはサンプルが多いので1ヶ月の集中でできるものが大半。既存のものを移植するには時間がかかるだろう。フルスクラッチに近い。たとえば、Flashのものをそのまま移行するというところはiPhoneのUIに即していないということで、はねつけられることになりそうなど。
OSのバージョンがどんどんかわる。例えばTouchScreenの検出位置がバージョンごとに違う。微妙にずれる。タッチポジションは少し大きめのほうがいい。小さいと利用者の混乱を招く。
NatsuLion
プログラミング言語の学習から始めたので3ヶ月4ヶ月かかった。Pending Contractにひっかかった。2ヶ月くらいなにもできなかった。
Pending ContractのせいでAppStoreにおいてもらえない状況が続くことはつらいので、開発者はダミーアプリを作ってあげてみることもありかも。はまると時間がかかる。
2tch
半年以上かかった。提出してから公開まで3ヶ月。リジェクト。理由はBBSPinkをいれちゃだめ、日本語コンテンツしか見れないビューアをアメリカで出すのはどうかなどなど、しかし日本で出した後、こっそり出すとOKだった
リリース後バグ発見→アップデートを繰り返すのだが、以前審査が通った要素を蒸し返す担当者の人がいる。どこにあるのか分からないが、審査のためのガイドラインがあると言ってくる。
機能の作りこみについて、iPhoneに向く機能、向かない機能、どう機能を削るか
Wikiamo
ヒューマンインターフェースガイドラインを読むことと、iPhoneのデフォルトアプリを参考にすること。
80%の人が使わない20%程度しか使われない、機能を削ることにしている。またはコアな人しか使わない機能を削るなど。
Editを押す人はいないと決断したり、フルテキストサーチについてはiPhoneの出力が悪いので実装せずに部分検索ののみの導入にしたりと、品質の問題もある。
Pokedia
勢いで作ってきたので、削るということはあまり考えていなかった。作れるもの重要なものから作った。削るよりは足し算的に作った。レビューや要望を参考に機能を追加してきた。
Evernote
iPhone用のアプリに求められるのは、多機能であるということではないと思っている。一つのアプリで一つのことができればいい。10得ナイフはいらない。一つのナイフの切れ味を上げていく。
evernoteは声の録音に注力したかった。最初の機能は録音だけだった。あとからテキスト機能などを追加した経緯がある。
NatsuLion
読むことに力を入れている、AutoPagilizeなど下までスクロールするとどんどん自動で読み込む機能など。
iPhoneアプリは機能を削ることが難しい、利用者からも追加要望がどんどんやってくる。対応すると簡単にカオスになる。
twitterアプリは17個もある。他はどんどん高機能になっていて困っている。
2tch
2tchは気ままに思いつくように作っていったが、有料アプリ作るときは単機能を磨いて丁寧につくりこんでいくようなスタイル。
いらない機能をつけていくとカオスになる。最初の哲学からそれていく。どんどん機能をつけてしまってボツ案になったアプリもある。
アプリの利用シーンを想定して、ぱっとiPhone出してぱっと使えるようなアプリとなるように作っている。
UI開発の工夫
どうやってUIをきめるか、ユーザビリティを高めるには?
Wikiamo
iPhoneは画面が狭い。できることが限られている。最初に機能を考えていくと検索が必要、ページの閲覧性、ブックマークいくつか概念がでてくる。
どう見せるとよいのか、一番使う機能をトップにもってくるなど考えた。
Pokedia
320×480の画像を作ってシミュレートしていた。Interface Builderを使って作ってみたりもした。
evernote
紙を用意して切って、アイコン作って貼って、アプリになるようにまとめていった。UIの参考はアップルの標準的なメールなどのソフトを参考にして作る。まねをする。
紙を使う理由は楽、サイズあわせなどもない、適当にすすめていけるのがいい。
natsuLion
アップルのアプリが参考になる。パフォーマンスが重要だと思って開発した。twitterificが参考になった、パフォーマンスをもっと良くしたいと思った。
NatsuLionはソースを公開している。ユーザビリティ・パフォーマンス優先の内容になっている。
2tch
ユーザビリティの話は耳が痛い。。スピードに関しては得意ではなかったので苦労した。早くなったのはNatsuLionのソースコードのおかげ
AppStore対策:審査の通し方、けられ方
2tch
アダルトコンテンツはNG。細かいことをちょこちょこ言ってくる、アイコン、ボタン、文言がおかしいなど。年間1万円の経費ではペイできないような手厚いサポート。
iPhone開発者のみなさんに一言
wikiamo
世界中に配信できます。使ってくれる人もいる。
Pokedia
このメンバー同士で良く会っている。落とし穴やわながあるので情報を共有しながらやっていったほうがトラブル回避にもなるのでいい。
evernote
海外からの仕事も増えた。海外で仕事をしたい人には良いプラットフォーム。twitterに登録してわからないよーと書くと他の開発者の方が教えてくれるよ。
natsuLion
SDKをDLして触ってほしい。情報公開をしていきたい。ソースを公開するなどして
2tch
自分にとってはAppStoreは良いフレームワークフランスでたくさん2tchがDLされていることを確認するとうれしい。