スクウェア・エニックスのスマホ用RPG『BRAVELY DEFAULT FAIRY’S EFFECT(ブレイブリーデフォルト フェアリーズエフェクト)(以下、BDFE)』について、12月21日にストーリー第二部が実装され、主人公たちの冒険は新たなステージへと突入!
▼風間雷太さんが描く新キービジュアル。
それを記念して、本作のプロデューサーの小松陽平さん(スクウェア・エニックス)と、本作のメインシナリオを執筆する網代恵一さんにお話を伺いました。
第二部制作に関する話や、第一部のストーリーの裏話、本作の今後の展望など、盛りだくさんの内容でお届けします。(文:ATom)
▼左は小松陽平プロデューサー、右は3DS版からシナリオ制作に携わる網代恵一さん。
いよいよ第二部スタート! 浮遊島で冒険が展開することになった経緯に迫る
——第二部が実装されて、シナリオ制作という面ではお2人とも当面は一段落ついたと思いますが、今のお気持ちはいかがでしょうか。
小松:コンテンツとしては第一部に関しては本編ゲーム内でしっかり語ることができて、第一部完結に合わせてノベライズも出すことができて、結構やりきれたという印象はありますね。
ちなみにノベライズはリンネの視点で描かれていて、リンネのことを深く知ることができる構成になっています。読めば第一部全体の内容がわかるというわけではないのですが、興味のある人はぜひ読んでいただきたいですね。
ゲームのほうは今後は第二部へ向かっていくんですけど、シナリオについてはこれからどういった展開になっていくのか、自分も楽しみにしています。
このキャラはどこで退場させられるのか、みたいな(笑)。
——そんな不穏な(汗)。でも、第一部のシナリオはいい意味で予想外のキャラの退場でカタルシスを味わえたので、第二部も警戒しちゃいますね(笑)。さて、網代さんのほうは、第二部のシナリオはだいぶ書き進められたのでしょうか。
網代:1章を書き終えたのが9月なので、あまり進んでいるとはいえないのですが、今は割と落ち着いているほうですね。
どちらかというと、時々入ってくるコラボ系のシナリオのほうが、書くためにいろいろ調査したりする必要があるので、結構苦労している感じです。
——以前にお伺いしたときは、第一部は最初の段階で大きな概要部分は計算して作ってあって、あとは章ごとに落とし込むという形で制作されていたという話をお聞きしましたが、第二部はいかがでしょうか。
網代:第一部ほど明確ではないですけど、なんとなくこのくらいのスパンで決着をつけようかという目論見は立てています。
そのスパンの尺としては、一番長いパターン、少し短いパターン、すごく短いパターンというのをいくつか考えて、どこでどういう決着をつけようか思案しているところです。
扱うテーマに関しては、これをやるというのは決めていますね。あとは、今はまだ言えないあれやこれやとか(笑)。
——第一部は、振り返ってみると序盤からいろいろな伏線が散りばめられていたので、そういったものも期待しつつ楽しみたいと思っています。今回は和の国を含めた6つの浮遊島が舞台になるということで、設定自体は第一部のエンディングで浮遊島について語られていましたが、その頃からすでに構想は固まっていたのでしょうか。
網代:第二部をやるという話があったのが春先で、19章を書き終えたのが3月くらいなので、その頃には浮遊島の話でいくしかないかなと。
実はもともと第二部は想定していなかったので、やるという話を聞いたときには驚いてしまいました(笑)。
19章を書き始めるときに、完全に終わらせる形にしてくださいという話だったので、当初は18章の予定が少しのびて19章になったんですけど、19章できっちり終えようとしていた矢先に第二部の話があって、さてどうしたものかと。
自分のなかでは、『ブレイブリー』シリーズのなかで決着をつけておかなければならない案件が優先順位的に4つくらいあったんですけど、そのなかの2番手のものに関して決着をつけようかと考えて、第二部に取りかかっています。
——第二部はヴィクターとリリアが登場するということで驚いたのですが、これは今回のテーマに深く関わっていることなのでしょうか。
網代:最初にプロットを提出したときに、クリスタル旧教がらみの話について、第二部でもまたやるのかと難色を示されたのですが、その決着をつけておかないとやるべきことにたどりつかないので、そこへ昇るための階段の1つとしてどうしても必要な部分だったんです。
はじめはヴィクターを主眼で持ってくる予定はなかったのですが、旧教について語ったり、出向いてケンカを売ってくれるキャラとしてはヴィクターが適任かなと(笑)。
とりあえずヴィクターを動き回らせて、問題をほじくり出させていく流れになるんじゃないかと思います。
——ちなみに和の国というのは、どういったところから選ばれたのでしょうか。
網代:もともと『フライングフェアリー』のときに、防具として源氏シリーズや平家シリーズがあり、武器種としても刀があったのですが、これらはどこから来たのかという話になったんです。
最初は東方を想定していたのですが、どこからが東方なのかわからないということで仕切り直して、とりあえず上空に浮かんでいる状態にしておこうということになりました。
『プレイングブレージュ』のときにちょうど浮遊大陸の話だったので、その設定を入れてみようということで和の国の話を少し出して、『セカンド』でも和の国の要素としてユノハナを出しました。
ただ、おそらく和の国は入り口でしかなくて、それ以降は特に和でもない国が出てくるので、浮遊島のすべてが和の国というわけではありません。
——グラフィック的には、和の国にはこれまでにない新しいキャラやモンスター(妖怪)などがたくさん登場して、新鮮な気分でプレイできました。
網代:実はそのリソースを開発する期間を稼ぐために、外伝4章をはさんだという事情もあったりします。
そういった意味では、9月が本当に大変でしたね。外伝の4章と第二部の1章を書いて、さらにコラボ系が入ったりチェックしたり。それを乗り切ってからはほっとしています。
——和の国というところで、キキョウといったキャラも登場したりするのでしょうか。
網代:『プレイングブレージュ』でキキョウの出身の里についての話をちょっと入れていたので、その残党的なものを出そうと思っています。
巧妙な伏線だらけ! 今だから話せる、第一部のストーリー制作秘話
——第一部のストーリーで、思い出に残っているシーンや見どころについて教えてください。
網代:リリース当初のタイミングで実装した1章から4章までは、いろいろと大変だったなという意味で思い出に残ってます。
詰め込む内容としては2章分くらいのボリュームなんですけど、それを4章かけてやったので、長さの割に密度が薄かったというか。
まだ手探りだったこともあり、あらためて見直すと特に盛り込む必要のないエピソードも多く、自分のなかでは4章まではもっとシェイプできたかなと思っています。
——4章以降は、4つのクリスタル解放のために各地をめぐっていくという王道的な展開ですが、この順番についてはどのように決めていったのでしょうか。
網代:あまり深く考えていたわけではありませんが、そもそも最初が風なのは、冒険がイスタンタールから始まるからです。
この地方には風の神殿があるので、まずは風のクリスタルから。
その次は地続きで北にあるフロウエルの水のクリスタルにしようと決めた時点で、『フライングフェアリー』と同じ流れにしてしまおうと決めました。
あとは、クリスタルの祭壇に参詣するためにその国のトップの許可を得るという話でもあるので、鉄砲衆(エイゼンベルグ)よりもクリスタル正教(エタルニア)を最後に持っていたほうが盛り上がるだろうという考えもありました。
——クリスタルの継晶の儀はユリアニスが行いますが、ストーリーを読み返してみるとところどころに伏線があって、よく練りこまれているなと感じました。
網代:物語終盤に関する伏線については、なるべくばれないように気を使いました。
あと最終的につじつまが合わなくなる可能性をなくすため、余計なものは入れないようにしましたね。伏線としてどうしても印象付けたいものに関しては、言ったあとにそれをにごすための何かを入れたりとか。
例えば9章で仮面の信徒が3人で話しているシーンがあって、実はあのなかの1人が××なんですけど、あれが××だとは絶対にわからないような形にしておきたかったんです。
3人のなかのもう1人がロマックで、キャラの体形的には縮んでいて全然違うんですけど、そこは記号として仮面の信徒を3人出して、それは実は××が暗殺計画のスポンサーとしてお金を払っていたという状態を表していたんです。
ですがあのシーンが出たときには、単にクーデターを起こすための陰謀ということで見せていたので、うまく××が黒幕だということは隠せるかなと。本来の目的ではない部分で予想させてミスリードを狙うというのは意識していました。
——その後、ユリアニスが死んだところはストーリー的に大きな出来事で衝撃的ではありましたが、ユーザーの方々の反応はいかがでしたでしょうか。
網代:ネットでは、血液検査のところで黒幕の存在に気付いていた人を見かけましたね。
あそこのイベントや手記で「出産時にこのような症状になることがある」というような割と決定的なことを書いていて、それは実は××が産み付けている蟲の卵のことなんですけど、それに気付いたプレイヤーがいましたね。
血液検査のイベントを書いたあと、ちょっと書きすぎたかな、どうしようかなと悩んだのですが、まあいいやと思って残しました。
——そのあとの出来事がショックすぎて、プレイヤーとしてはそっちのほうに気を引かれてしまったというのはあります。
網代:あそこでユリアニスが命を落としたことによって、いろいろな伏線を忘れさせられるので、それを利用した部分はありますね。
「ん?」と思わせた直後に大きなショックを受けさせて涙で洗い流すみたいな、ちょっとずるい手を使いました(笑)。
——レイコックとはどこかで戦うことになるだろうと予想していましたが、意外な展開で驚きました。あれは最初から決まっていたのでしょうか。
網代:レイコックが過去のこちらの世界に来て、レイコックと戦うというのは決めていたのですが、ここまで明確には決まっていなかったです。
もともとは「負けるなバニィ」というのはユリアニスが未来からレイコックを呼び出すために書いていたという設定だったのですが、そうじゃないほうがかっこいいよねという話になって、レイコックが仕組んだという形に変えました。
——レイコックは、血斧騎士団をどんどん自分の仲間にしていって熱い展開だったんですけど、あれも書いているうちにあのような形に変わっていったのでしょうか。
網代:あのような形にするというのは最初から決めていました。
我々世代のオヤジがころっといくパターンですよね(笑)。いい年をしたオッサン同士が徒党を組んで、最後は夢がかなわず果てていくという、滅びの美学みたいな感じを出してみました。
敵として戦ったやつが生きていて、しばらくしてから仲間になっていっしょに戦うという展開はよくあるんですけど、それを意識してシナリオを書き進めていくと、見透かされてしまうと思うんですよね。
なので、死なせるキャラは躊躇なく死なせることを念頭においてやっていたんですけど、レイコックだけは絶対に殺さないでくれという、その当時の担当の熱い希望があったので、死んだかどうかわからない状態にはしています。
ほかには、ダラケも死んでいなくて、化け物になったままどこかへ行っているんです。もしかしたら、第二部で化け物として登場させるかもしれません。ワーレンもまだ生きている状態ですね。それ以外は全員死んでいます。
——レイコックは最後、血斧騎士団と同じような印の力で変身しますが、あれはどういうことなのでしょうか。
網代:あれはレイコックが血斧騎士団団長とレッカの子孫なので、先天的に血斧の力を持っているということです。もしかするとその辺の話をどこかで語るかもしれません。
——18章と19章はクライマックスということで、話をまとめるうえで大変だった部分はありますか。もともとは18章で終わる予定という話でしたが。
網代:書いたものをいかにシェイプするかという作業が大変でしたね。
単にシェイプして章を2つに分けたらいいというわけでもなくて、章のなかの起承転結もしっかりつけないといけないので。
本来は1つの章のなかにリンネの正体を明かす部分からラスボスとの戦いまですべて入っていたので、それをどこで18章と19章に分ければいいのか悩みました。
▼リンネが2人!? その理由や経緯は18章で明かされますが、その後、ついつい4章を読み直して「確かに!」と驚いた人も多いのでは?
バランス的には18章よりも、19章が濃すぎるという形になってしまっているんですよね。
実はリンネが××したという悲しみをもって、ラスボスパートのえぐさを薄めようと思っていたのですが、リンネが××したところで章を分けてしまったので、その手を使えなくなってしまったんです。
しかも通常よりも1カ月のびて余計に間があいてしまったので、そういった意味で19章では極力えぐさにつながる部分をシェイプしていきました。語りたかったことをあえておさえていたりする部分も結構多かったりします。
——ちなみに××は4歳のころに蟲に喰われて体を乗っ取られたということですが、××自身の意識は完全には消えていないということでしょうか。
網代:かすかな希望として××の意識は残っているということにしていますが、基本的には乗っ取られていると考えてもらっていいかなと。
たまに蟲の意識がなくなったときに一瞬だけ××の意識が出てくるという程度です。
ただ、完全に××の意識が消えているというのは無理があるので、途中から××自身の本心のような部分はちょこちょこと入れるようにはしていました。読んだあと、「これはきっと××の気持ちだな」と思ってもらえるように書いた部分は結構あります。
——よかった……。プレイヤーとしては心を折られそうな展開ではありますが、少しは救いがあるのかなと。
網代:最初にプロットを組んだ時点では、もっと心を折るような形のものをオーダーされていました。何段落としでもいいので、絶望に突き落としてほしいと(笑)。
余談ですが、ラスボスのデザインは女性デザイナーさんが担当してくれたのですが、なかなかインパクトがあるデザインでありがたかったですね。
真の姿については、以前にコラボで登場したバハムートをフィールドに出した時に、翼を広げた姿が威圧感があって気に入っていたので、大きく翼を広げてほしいというオーダーを出して、あとはおまかせしました。
結果的には腹部にある人物が囚われていたり、側面に巨大な目玉やベロがついていたりと、いい感じにエグいデザインになってよかったと思います(笑)。
——第一部を振り返ってみて、自分の想定と違う形になったというような部分はありましたか?
網代:ジョバンニとステイシーですね。最初に退場させようと思ってましたから。運命を背負っていないキャラがこれだけ便利なのかと、まざまざと痛感しました。
——第一部のラスボス戦にもついてくるし、第二部でも登場するし、大出世キャラですよね(笑)。
網代:バックボーンがなくて本当に自由に使えるので、プレイヤーの代弁ができるというか「よくわからないけど俺は許せない」みたいなことをポロッと言えるので、とても重宝しています(笑)。
——第二部が始まったあとも、外伝は今後も続いていくのでしょうか。
網代:現時点での予定はありませんが、何かきっかけがあれば書くかもしれませんね。
もともと外伝というのは、濃厚な話としてまわせるけど『フェアリーズエフェクト』とはあまり関係ないという扱いで、本編とは切り離したいと考えています。
外伝には次元管理官の話などがガンガン入ったりして、プレイヤーからは「これは本編なのでは?」と言われたりするのですが、これは次元管理官の話でさえ『フェアリーズエフェクト』からすると外伝でしかないということなので、そう受け取っていただけるといいかなと思っています。
『BDFE』はまだまだ続きます! 年末以降の展開について
——第二部ではシステムも少し変わっていて、マップ移動がなくなっていたり、ストーリー中ではパーティプレイがなくなっていたりしますが、このような形にした狙いを教えてください。
小松:第一部後半では、ストーリーのバトルパートでも結構高めの難易度になっておりソロでクリアするのが難しく、一部の方にとってはパーティプレイありきみたいなバランスになってしまっていたんです。
話を読み進めたいけど1人では敵が強くて倒せないから進められないというプレイヤーもいて、それはストーリーという機能の目的を考えたときに避けたいなと考えました。
何のためにメインストーリーがあるのかといったら、やはりお話を読んでもらうことが第一だと思うんです。
当初の想定としてはメインストーリーを楽しむために強くなってもらいつつ、プレイヤー間でコミュニケーションを取っていただくという設計もあるんですけど、それは別のところでもできるので、ストーリーは読み進めることに集中できるように、このように変更しました。
マップ移動の有る無しに関しては、ストーリーだけでなくデイリーでこなすような素材集めなど効率を重視すべきコンテンツにも適用して、テンポよく遊べるようにしたいと考えています。
——今後、実装を予定している新要素はありますか?
小松:新機能としては、2周年となる来月3月に向けて1つ大きなものを用意しているのがあります。
これ以外にも時期は明確には言えないのですが、もう1つ実装する予定のものがあって、まったく別物の育成軸として広がっていく機能を考えています。
第二部からストーリーも新しい展開が始まっていくんですけど、ゲームとしての遊びの部分でも、今やっていることの延長線上とか+αではなく、どんどん新しいものを入れていこうという意識で制作しています。
ちなみにコラボ系は、今後もビッグニュースを用意しているので、驚いてもらえると思っています。お楽しみに!
——3月ごろの2周年記念としては、どのようなイベントを予定しているのでしょうか。
小松:1周年のときは、3DS版のキャラや装備が出てきたりということをやったので、2周年でも方向性としては似たような形でやろうと考えています。お祭り的なノリで楽しめる仕掛けを考えていきたいですね。
——最後に、本作をプレイしているファンに向けてメッセージをお願いします。
網代:できれば、fusetterにカギをかけずにどんどん感想を書いてください。
皆さんの感想を楽しみにしていて、それだけが生きる糧になってます(笑)。
もう第二部も始まりましたし、ネタバレになるから書かないとか、遠慮する必要はないので、どんどん感想や考察を書いてくれるとうれしいですね。
小松:ストーリーとともに、遊びとしての新機能やアップデートも「長期」で用意しています。
「長期」というのがアクセントで、まだまだ続くよということをちゃんとお伝えしておきたいなと(笑)。
ストーリーにも自信がありますが、本格的なRPGとしても楽しめる作品ですし、今後もゲームとしてのクオリティを上げていきますので、ぜひご期待いただければと思います。
まだ遊んでいない方は、第二部実装のタイミングでいろいろとお得なキャンペーンも実施中ですので、年末年始にじっくり楽しむRPGとして遊び始めていただけるとうれしいですね。
難易度的にはむしろ第二部のほうが簡単なので、まずは第二部を遊んでキャラを育てていき、途中から第一部もあわせて遊んでいただくのもアリだと思います。
・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd. ・掲載時のDL価格: 無料 ・カテゴリ: ゲーム ・容量: 34.4 MB ・バージョン: 1.0.29 ※容量は最大時のもの。機種などの条件により小さくなる場合があります。 |
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