AppBank の主任です。
RSS リーダーと言えば「Google リーダー」というのが近年の定番でしたが、2013年7月1日(月)にサービス提供を終了します。
AppBank でも Google リーダーの代わりとなるサービス・連携するアプリの対応状況を連日ご紹介してきましたが、その注目度の高さから、間接的ながらも Google リーダーの人気ぶりをあらためて実感させられました。
そんな Google リーダーがサービスを終了する理由は何なのでしょうか? 今回はその理由を考えます。
Googleの公式見解は「利用減少が原因」
Google が Google リーダーに関するニュースを公開する公式ブログ「Official Google Reader Blog」によると、サービス終了には2つの理由があるとしています。
1つは「Google リーダーの利用が減少していること」、もう1つは「より少ないサービス・製品に注力すること」としています。
「利用数が減っている」という理由は元 Google 社員からも指摘されています。
Google リーダーの元プロダクトマネジャーのブライアン・シー氏は、2011年10月の大幅リニューアルで Google リーダーのシェア機能を大幅削減し、Google+ に集約したことがユーザー離れを招いたと指摘しています。
しかし、これとは別の理由を指摘する声も上がっています。
プライバシー保護強化に必要なコストが高かった?
AllThingsD は、Google はプライバシー保護の強化に費やすコストが高かったことから Google リーダー終了を決定した、と報じています。
Google がプライバシー保護の強化を図ったのは「ストリートビュー撮影時に Wi-Fi の通信内容を記録」や「ユーザーを追跡できる Cookie を拒否しているユーザーにも取得させた」問題が話題となり、さらに多額の和解・制裁金を支払ったことがきっかけと言われています。
ちなみに、前者の問題ではアメリカで総額6億7200万円ほどを支払い、後者の問題では約17億5500万円を支払っています(いずれも当時のレートで計算)。
こうした問題を再発させないためには、プライバシー保護の観点からサービスを監督できる人材、改善が必要な場合にはそれを実行する人材も必要です。
しかし、この時点でそうしたことを行える常任スタッフが Google リーダーチームにはいなかったようです。その原因と言われているのが「Google +」。
このサービスの開発に主要メンバーが引き抜かれ、Google リーダーは現状維持モードになった、と Google リーダーの元プロダクトマネジャーは別の報道で証言しています。
さらに Google は、そうした状況にある Google リーダーチームに人材を新たに投入することも行わなかったようです。
結果、Google リーダーには将来性が無くなったのでサービス終了が決まった、というのが AllThingsD が報じている内容です。
では、Google が新たに人材を投入しないと決定した背景には何があるのでしょうか?
サービスを終了させることでユーザーを囲い込む?
WIRED.jp が指摘するように、ニュースの消費の仕方が変わっていることも影響しているのかもしれません。
RSS をチェックする・ニュースサイトを読むよりも、ソーシャルメディアで話題になっているニュースを読む・キュレーターアプリで勧められたニュースを読むことが増えた方も多いのではないでしょうか。
Google はそうした変化に対応するため、Google リーダーを終了させ、Google Now や Google+ を代替手段として推し始めているのかもしれません。
一方で WIRED.jp の記事は、Google がこれを機に利用者を Google に囲い込むこともできる、と指摘しています。
サービスの内部でニュースを消費できるようにすれば、Google はユーザーの好み・動向をより正確に把握できるようになります。
そうなれば、ユーザーが求めているニュースを自動的に提供できるようになります。さらにそのデータは、ユーザーの関心を引く広告を表示するのにも役立つはずです。
Google は収益の多くを検索広告から得ており、ユーザーの興味・関心に基づいて最適な広告を表示することは非常に重要です。
Googleリーダーで囲い込みはできなかったのか?
Google リーダーでの囲い込みは困難だったのかもしれません。
記事の全文を配信していない RSS をチェックしている場合、続きは Google リーダーではなく、そのウェブサイトに移動して読みます。
また、フィードそのものに広告を埋め込んでいるウェブサイトもあるため、Google リーダーが広告を表示することは難しかったかもしれません。
さらに Google リーダーと連携するアプリによって、ブラウザ版 Google リーダーを使うユーザーが少なくなったことも、囲い込みが困難になった理由として考えられます。
現在、無償で利用できる Google リーダーの代替サービスはいくつかありますが、今後、それらのサービスがどのように利益を得るのかにも注目です。
Googleリーダーはまもなく終了、データの救出はお早めに
終了の理由が何であったにしても、Google リーダーが終了することには変わりありません。終了予定日は2013年7月1日(月)です。
購読サイトのリストなどをまだ書き出していない方は、Google データエクスポートを使ってデータを救出しておきましょう。
Googleリーダーが終了する前に「購読サイトのリスト」を救出しよう!
参考(順不同)
- Another Reason Google Reader Died: Increased Concern About Privacy and Compliance – Liz Gannes – News – AllThingsD
- Official Google Reader Blog: Powering Down Google Reader
- Google Readerはなぜ終了? 元責任者が理由を推測 – ITmedia ニュース
- Google、Wi-Fiデータ無断収集問題で米38州に総額700万ドル支払い – ITmedia ニュース
- Google、Safariのプライバシー設定回避問題でFTCと和解。制裁金2250万ドル支払いに合意 | TechCrunch Japan
- 「Google Reader」が打ち切られる本当の理由 « WIRED.jp